恐怖の組み合わせ
このようなMicrosoftの技術の組み合わせに、オープンソースのライバルらは焦りを感じている。
Ximian共同設立者のMiguel de Icazaは最近のブログのなかで、「LonghornがデスクトップにおけるLinuxの存続を脅かしているのは、XAMLやAvalon、.NetといったMicrosoftの強力な技術が組み合わさるためだ」と記している。「Microsoftは、Javaがウェブでやりたかったことをやろうとしている--しかも、彼らはこの技術を配布するチャネルを確保している上、Javaの失敗から教訓を得ている。こうした技術が組み合わされれば、Longhorn用アプリケーションをウェブ経由で導入できるようになる。つまり、アプリケーションの開発や導入を一カ所で行い、どんなコンテンツでもブラウザを使って安全に利用できるようになるというメリットが得られる」(de Icaza)
オープンソース側の対抗策の切り札となるのは、MozillaのExtensible User Interface Language (XUL)かもしれない。この5年前から存在するスキームは、XML(拡張マークアップ言語)やCSS(カスケーディング・スタイルシート)などの軽量のウェブマークアップ言語から、デスクトップアプリケーションのユーザーインターフェースを構築するためのものだ。
XUL開発の本来の目的は、Mozillaブラウザ自体を軽量・高速化するために、各種のウェブ標準技術を使ってインターフェースを構築することだった。しかし、この開発の結果生まれてきたXULが「プログラミング革命」に火を付けるのではないかとMozillaの開発者らは憶測している。
いまのところ、XULは成功を収めるには至っていない。またMicrosoftは、GnomeがLonghornからの脅威をかわす上で、Mozillaの技術がどれほど役立つかについて疑問を呈している。
Microsoftは、OSの内容を正確に反映する点に関しては、XAMLのほうがXULより優れていると主張している。
「XULはGnomeがおそらく望んでいるような多目的の宣言型言語ではない」とWindows開発者プラットフォームのプロダクトマネージャー、Ed Kaimは説明する。「カナヅチを手にすると、何でもかんでもクギのように見えてくるとよくいうが、それと同様に、XULをもともと想定していなかったOSになんとか押し込む方法を皆が探している。Mozillaブラウザには素晴らしい点も多くある。しかし、堅牢なクライアントサイドのアプリケーションを扱うという点では、ベストの技術とはいえない」(Kaim)
XULをGnomeの既存ユーザーインターフェース技術と調和させることにも、工夫が必要だろう。
「両者を結合させる方法はいくつかある」と、マーケティング団体Desktop Linux Consortiumのエグゼクティブディレクターを務めるオープンソースコンサルタント、Bruce Perensは述べている。「しかし、両チームが同じ方向性で作業するのは、非常に難しい。両者とも数年間かけて、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)アプリケーションに必要な技術を全て作り上げてきた。そして、両者が作り上げたものは同じではない。両者を統合するための技術的な違いを解決するには数年かかるだろう」(Perens)
Gnomeは既にMozillaソフトウェアの一部を利用しており、EpiphanyというMozillaベースのブラウザを開発している。Mozillaのほうでも、LinuxおよびGnome向けにFirefoxというブラウザをつくっている。そして、両グループの議題のひとつは、Epiphanyに実装されたGnomeのネイティブなインターフェイス要素を、Firefoxに含まれるクロスプラットフォーム機能や200種類もの機能拡張(もしくはプラグイン)と組み合わせることだった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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