ソフトウェアベンダーの米Adobe Systemsは17日(米国時間)、活気を失いつつある電子書籍市場の復活を目指し、独自にオンラインストアを開店するという驚くべき行動に出た。
このAdobe Digital Media Storeは、HarperCollins、Simon & Schuster、そしてRandom Houseといった大手出版社(いづれも米国)の書籍を販売するほか、Popular ScienceやNew York Timesといった出版物の電子版へのリンクも用意している。これらはすべて、電子プレゼンテーションやドキュメント交換のための広く普及した同社のPortable Document Format(PDF)で出版されている。
Adobeのシニアバイスプレジデント、James Heegerは声明の中で、電子書籍の最有力フォーマットがPDFであることから、Adobeが入手可能なコンテンツを集約することは理にかなうとしている。
「Adobe Digital Media Storeは、Adobeの開発したPDFに現在フォーマット化されている膨大な数の魅力的なコンテンツを公開するとともに、Adobe Readerを通じ、きわめて重要でかつ革新的な新しい販売チャネルをデジタルコンテンツの出版社や製作者に提供するものだ」(Heeger)
PC、携帯端末、および読書用の専用機器で読めるようデジタル化された書籍で、かつては出版の未来の姿として大々的に宣伝されていた電子書籍は、まださほど大きな市場シェアを確保できずにいる。同フォーマットは、9月に書店のBarnes & Nobleが電子書籍の販売を打ち切るとの発表を行い、大打撃を受けていた。同書店のオンラインストアでは、各種タイトルをPDFとMicrosoft Readerの両フォーマットで販売していた。
AdobeのCEO(最高経営責任者)、Bruce Chizenは先頃、CNET News.comとのインタビューに答え、電子書籍普及の遅れはハードウェアの選択肢が不適切であることが原因だとした。
「電子書籍市場は、書籍と同じような価値を持つデバイスが登場するまで成熟できないだろう。現在、電子書籍で優れた使い勝手を実現しようとしたら読書用の専用機器に数百ドルも投資しなくてはならないが、それでも照明などの条件から特定の環境でしか読むことができず、また消費電力が大きいために頻繁に充電しなくてはならない上、耐久性も劣っている」(Chizen)
Adobeは、電子出版専門業者の米Content Reserveと協力して新店舗を運営する。Content Reserveでは、電子ドキュメントの保管、配信、決済処理を行うOverDriveというサービスを保有している。Adobeでは、大手出版社との協力に加え、技術的な報告書から地図までのさまざまなコンテンツに関して、独自提案も呼びかけている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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