米アマゾン、ショッピング検索に参入

 米Amazon.comは、Eコマース検索テクノロジーを開発するグループを結成し、現在、米Googleや米Yahooが支配している収益性の高い市場に足場を築こうとしている。

 Amazonの関係者が米国時間24日に語ったところによれば、同社はA9.comと呼ばれる独立部門を社内に設立し、社内および他の企業による利用を想定したショッピングのための検索ツールを開発するという。カリフォルニア州パロアルトに設立した新部門を率いるのはUdi Manber。同氏は、多くの人から尊敬を集めているコンピュータサイエンティストで、以前Yahooの幹部として働いていたという経歴の持ち主である。ここ数週間、シリコンバレーのソフトウェア技術者と面接を重ねてきた同氏は、10月までに30名のチームを結成する予定だ。

  「A9.comは、Amazonやサードパーティのウェブサイトが利用できる最高のEコマース検索テクノロジーを構築するために新たに設立された部門で、Amazonとは別のブランドで運営される」と、A9広報担当のAlison Dibollは述べたが、提供するサービスの詳細には触れなかった。

 Wall Street Journalが第1報を報じた、今回のA9の設立だが、GoogleがAmazonとの間で、検索サービスおよび有料の広告リンクを提供する複数年契約の締結を発表してから、わずか5カ月しか経っていない。このため、A9の設立は、米InktomiとOverture Servicesを買収することでYahooが示したのと同様に、今度はAmazonが自らの力で競争することを決意した、その意志を表すものかもしれない。

 Yahoo、米Microsoftやその他の企業は、昨年、ウェブ検索分野に再び参入してきた。ちょうどGoogleが成功をおさめ、また2003年の市場規模が20億ドルに達するとアナリストが予想を発表した頃のことだ。

  「こうした動きは、検索分野全体がいまだに進化していることを示している。コンテンツを対象とした検索技術の開発だけでなく、ショッピング検索技術の開発でも、そうした発展の余地がある」と、Nielsen/NetRatingsのディレクター兼上級アナリストのRob Leathernは述べている。

 Nielsenの調査によると、Pricegrabber.comやDealTimeのような価格比較サイトへのアクセスは、2002年から2003年にかけて100%以上の伸びを示したという。これに対し、Googleやオークション最大手のeBayにおける同時期のトラフィックの伸びはおよそ40%だった。

 GoogleやYahooは、この専門検索市場における各々の存在感を高めたいと考えている。オンライン小売業者のサイトにネットユーザーを誘導する毎に、あるいは誘導したユーザーが何かを購入するたびに、一定の手数料が入ることになっているからだ。Googleは昨年12月から商品比較エンジンFroogleのテストを続けており、いっぽうYahooは今週になって独自の商品検索サイトを始めている。

 ウェブ検索に対するAmazonの関心は、同社がオンラインショップで販売している書籍、衣類やスポーツ用品以外の取引にも参加したいという意欲の現れだ。同社はすでに、ウェブ上で最も多くの利用者があるサイトの1つとなっているが、自社で扱っていない製品やサービスに、ネットユーザーを案内することにも一役買いたいと思っているのかもしれない。Amazonは以前、他のサービスを提供すると口にしていたことがあった。そのなかには、ユーザーが他のウェブサイトで購入した商品の支払いを、Amazonのアカウントを利用して行うという、オンラインペイメントの仕組みもあった。

 A9のDibollは、同社の検索分野への展開を、「オンライン小売業者からテクノロジー企業に変身する、Amazonの進化を反映するものだ」と特徴づけている。

 しかし、これをGoogle、Yahoo、eBayが、ウェブ上での検索・ショッピングサイトの覇者となるべく戦いを繰り広げる、その前哨戦と呼ぶ者もいる。「彼らは、商品やサービスを探すのにネットを利用するユーザーが、まず立ち寄るような主要サイトになろうと、徹底的に戦うだろう」と、NielsenのLeathernは述べている。

 その過程で、Amazonのことをいまのままでも充分だと思っている人々が、同社から離れていってしまうというリスクもある。特に、同社がウェブ検索に進出することに脅威を感じているベンダーは、同社を敬遠するだろう、とLeathernは述べた。

 A9が、今後何を開発するかは明らかになっていないが、彼らのショッピング検索テクノロジーは、利用者がさまざまなベンダーや製品を、同時に評価できるようなものになるだろう。Leathernによると、Amazonの顧客が、同社のサポートする複数のベンダーの製品を見つけ出し、その価格を比較できるようになると、かえって却って彼らを混乱させてしまう可能性があるという。「これはバランスをとるのが難しいビジネスモデルだ」(Leathern)

 A9は、検索テクノロジーを開発するために、ソフトウェア技術者を雇い入れているところだが、この点でも Googleと競合することになる。Googleでは、活発な求人活動を開始したばかりだ。Amazonは、昨年Manberをバイスプレジデント兼チーフアルゴリズムオフィサーとして迎え入れたが、同氏がA9の社長になった今、これらの役職を保持するかどうかははっきりしていない。同氏は、Yahooで働く前には、アリゾナ大学でコンピュータ科学の教授をしていた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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