米Barnes&Nobleは、電子書籍の販売を打ち切るとの声明を、同社ウェブサイト上で公開した。
米MicrosoftのeBook Readerのユーザーは、12月9日までに同店から購入したファイルをダウンロードし、また米Adobe Readerのユーザーは購入から90日以内にファイルのダウンロードを完了するように、という告知が9日(米国時間)に掲示された。同時に、数千タイトルが「入手不可能」になっていた。
電子ブックが旋風を巻き起こしたのは2000年、ベストセラー作家のStephen Kingが電子ブックの実験的出版を行った頃のことだった。しかし、それ以降、電子ブックは人々の期待を大きく裏切り続け、販売面でも、閲覧のための技術面でも振るわなかったと、アナリストは語る。
Nielsen/Netratingsのディレクター兼シニアアナリストのRobert Leathernによると、「電子書籍の売り上げは、非常に少なかった」という(ただし、 Nielsen/Netratingsでは電子書籍の販売数を正式に追跡してはいないことを付け加えた)。「電子書籍は長年、一気に普及すると言われてきた。しかし実は、技術がそこまで出来上がっていなかった」(Leathern)
Barnes&Nobleによる電子書籍販売打ち切りの決断は、そのための新技術の売り込みに力を入れてきたMicrosoftと Adobe Systemsの両方にとって、後退を意味する。
Microsoftは2000年1月にBarnes & Nobleとの契約を結んだが、その時Barnes & Nobleは、Microsoft eReader用の書籍を取り扱うオンライン上の電子書店を開設し、全米の店舗で大々的な宣伝活動を展開することに合意した。
以来、Microsoftは電子書籍の設計に多額の投資を行い、閲覧用ソフトウェアの改良や、 Pocket PCやTabletPCなどの新たな携帯用プラットフォームの考案を進めてきていた。
「重要な販売店がなくなったことは、もちろん残念だ」と、Microsoftの電子書籍グループのグループプロダクトマネージャー、Cliff Gurenは述べている。
同氏の話では、MicrosoftはeReaderソフトウェアの販売実績は開示していないが、これまでに約700万のeReaderが、ダウンロードまたはCD-ROMやPocketPCの付属として配布されているという。
いっぽうAdobeは、電子書籍技術を開発する米Glassbooksを買収し、2000年に同事業の拡大を図った。また同年、AdobeのPDF形式の電子ブックの販売契約をBarnes & Nobleと結んでいた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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