論理的思考は、ITプロフェッショナル、ITマネージャー、IT担当役員にとって必要不可欠のものだ。彼らは、エンドユーザーが抱えている問題を的確に診断しなくてはならない。また、ベンダーの要求を正しく評価する必要がある。昇給や昇進の希望を却下されたときには、反論することも必要なのだ。この記事で説明する概念は、論理的思考を磨くにあたって役立つはずだ。
スマートフォンを水中に落としたことはあるだろうか。以下この記事では、スマートフォンが水中に落ちたら必ず故障すると仮定する。言い換えれば、「もしスマートフォンが水中に落ちた場合、そのスマートフォンは故障する」という文章は、真だということだ。
このような文章は、論理学では条件文と呼ばれている。文章の前半は、条件や要件を述べている。また後半は、その条件を満たした場合の結果を述べている。条件が満たされていると、結果が生じる。アプリケーションプログラミングの経験があれば、条件文を使ったことがあるはずだ。条件文の考え方は、論理的思考においても同じだ。
論理学では、条件文の前半と後半に特別の呼び方がある。前半は「前提」と呼ばれ、後半は「結論」と呼ばれる。条件文では、前提が真であれば、結論も真である。結論は、前提が真であった場合に起こること、または前提に起因することであるためだ。
省略形として、前提を「p」、結論を「q」と表すことがある。また、因果関係(「~ならば」)を「→」で表す。この例の場合、「p」は「スマートフォンが水中に落ちる」を表し、「q」は「スマートフォンは故障する」を表す。また「→」が「ならば」を表すことになる。つまり条件文の一般的性質は、「p → q」と表すことができる。
元となる条件文の構造をpとqで理解できれば、これに関連するほかの3つの論理も理解できる。その3つとは、「逆」「裏」「対偶」だ。これら3つを知ることは、間違った推論を避けたり、他の人の間違った推論を発見するために重要だ。
元の条件文の「逆」とは、単純に前提と結論を入れ替えたものだ。従って略記法では、逆は「q → p」となる。今回のスマートフォンの例では、「スマートフォンが故障しているならば、それはスマートフォンが水中に落ちたからだ」となるだろう。
おわかりの通り、この例の場合、逆は真ではない。スマートフォンが壊れる原因は、水に落とす以外にもいろいろあり得るからだ。同様に、フロリダに住んでいる人は米国に住んでいると言えるが、米国に住んでいる人が必ずしもフロリダに住んでいるとは限らない。逆が真であると仮定すると、次のように後件肯定の虚偽が起きてしまう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力