お金を惜しむ人は多い。コンテンツにお金を払いたくないのだ。The New York Timesは有料化に踏み切ったが、その「有料の壁」には設計上の欠陥があるため、料金を払っていない読者が気に入った記事を他者と共有できてしまう。また、すべてのオンライン新聞を無料で読む方法を説明した記事が登場している。その根底には、すべてを無料で手に入れられるのなら、自分にとってどんなに貴重なものであれ、実際にお金を払ったら負けだという考えがある。
しかし、人々が気に入ったコンテンツにお金を払わないのなら、パブリッシャーやマーケッターは別の方法で人々の関心から価値を引き出すことができる。それは、読者自身を広告媒体にしてしまうという方法だ。
マイクロマネタイゼーションにおける最新の試みでは、ユーザーとコンテンツの間に「Likeの壁」を置いている。The New Yorkerは先ごろ、料金を支払っていない読者を対象に、1本の記事を使ってある実験を行った。Facebook上でThe New YorkerのLikeボタンを押したユーザーは、Jonathan Franzen氏のエッセイを「無料」で読めるという実験だ。Mashableが指摘しているように、Self MagazineやJennifer Lopez、Lil Wayneも、「Likeの壁」の後ろにコンテンツを隠している。
このようなコンテンツはほかにもある。電子機器メーカーのDENONは新しいモデルを打ち出しており、DENONのページで「Like」ボタンを押したFacebookユーザーに対してのみ、新製品の情報を一部公開するとしている。レビューサイトのHonestly.comはA/Bテストを実施中で(つまり、すべてのユーザーに表示されるわけではない)、登録ユーザーは同サイトの「Like」ボタンを押すまで自分の評価を見ることができない。
こうしたテストの狙いが、オンラインサービスへのアクセスと引き替えに、Facebook上で製品をそれとなく推奨してもらうことにあるのは明白だ。一部のケース(例えばDENON)では、ユーザーは対象が何であるかを十分に知らされずにLikeボタンを押すことを求められる。何も知らずに保証をしていると言ってもいいだろう。
2つの理由から、こうした行為は止めるべきだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス