Adobe Systemsは、「Photoshop」のようなアプリケーションを「iPad」上で稼働させるデモを米国時間3月30日に披露したように、タブレットコンピュータにおける同社の取り組みの成果を公開し始めている。これは良いことでもある。なぜなら、同社がデスクトップソフトウェアで持つ影響力がタブレットにまで及ぶということは、保証の限りではないからだ
Adobe Systemsがタブレット向けグラフィックスプログラムに取り組んでいるというのは、なにも秘密ではない。確かに、Adobeでタブレットに関する取り組みを指揮しているJohn Nack氏は、それこそ何をすべきかについての助言を2010年から求めており、Adobeも、他のPhotoshopの機能をAndroidタブレットやiPad上でデモしてきた。しかし、Adobeが今になって自社プロジェクトに関してより多くを語っているという事実は、実プロジェクトの見通しに対する期待を同社が高めようとしている可能性を示唆している。
Photoshop Worldカンファレンスにおいて、Photoshopを含む「Creative Suite」ソフトウェアのリーダーをAdobeで務めるJohn Loiacono氏は、同社の考えを一部披露した。特に、同氏は、iPadに馴染むよう変更を加えられたレイヤのデモを披露した。レイヤは、Photoshopの主要機能であり、PC版ではPhotoshop 3.0で1994年に登場した。
Loiacono氏は、その機能が「調査中の技術」であることをすぐに述べ、何らかの形で出荷することを約束しなかった。しかし、電話やタブレット向けに機能を取り除いた「Photoshop Express」のような製品以外の何かがAdobeから提供される、という状況になりつつあるというのは明らかだ。Photography BayがLoiacono氏のデモの様子を掲載している。
Adobeは、概念から現実へと明らかに移行しつつある。また、もう1つ明らかなのは、非常に多くの新興企業が新しいタブレット市場で存在をアピールしているということだ。
この市場において、手軽に使える製品としては、「Hipstamatic」「FX Photo Studio」「Instagram」「Picplz」などがあり、写真の編集と共有を可能にすることでユーザーのインターネットライフに溶け込みつつある。より本格的でクリエイティブなユーザー向けには、「Zen Brush」「Brushes」「Inspire Pro」「Inkpad」などがあり、より豊富な画像オプションを提供する。また、さらに本格的なユーザー向けである「LRpad」や「Photosmith」のようなアプリケーションは、より真剣な写真家たちに受け入れられるような潜在能力を持っている。
タブレットがパーソナルコンピュータの領域にどれだけ食い込めるかは、まだ明らかでない。特に、負荷の高いコンピューティング作業に関しては、未知の部分がある。しかし、明らかなのは、タブレットが多くの一般的な人々のデジタルライフで目立った居場所を見つけつつあるということ、そして、そのハードウェアからひ弱さが消えつつあるということだ。
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