しかし、Dellにとってやるべきことはまだある。中核となるPC事業でHPにシェアを奪われ、ノートPC市場ではAcerに第2位の座を脅かされている。Dellは何かを必要としており、ハンドヘルド端末は新しい水準の消費者の注目をもたらす話題の製品になりうる(楽しいマルチタッチ機能を付けてもいいだろう。11月のOracle Open Worldで同社はこの技術を披露している)。
その一方で、Dellにはハンドヘルド機器を必要とする理由がある。
・Dellはこの市場に自社製品を持っていない。PDA市場が底割れしたため、同社は2007年に入ってから同社ハンドヘルド機「Axim」の販売を終了した。この決定自体はおそらくは正しい判断だろうが、それに代わる携帯電話やインターネット端末といったハンドヘルド機が何も用意されていなかった。AppleのiPhoneは別としても、主要なライバルであるHPにもiPaqがある。iPaqはデザイン的に特段優れている訳ではないが、現行技術が盛り込まれており評判がよい。
これに対して、Dellは音無の構えだ。差し迫った問題を抱えているという事情もあるだろう。しかし、iPhoneやiPaqのような機器があれば、Dellというブランドとバランスシートに大きなプラスになる可能性がある。
・ハンドヘルド機器は人気があるが、中でもスマートフォンに対する需要は2006年に急上昇した。NPD Groupの収集したデータによると、今では米国の携帯電話機市場の12%を占めているという。ハンドヘルド市場で見ても、スマートフォンのシェアは2006年末の四半期だけで4%から8%に倍増した。消費者は今もあらゆるガジェットのモバイル化を求めており、Dellはその需要に応えることができるかもしれない。しかも、デルはブランドとして認知されていて、今後3年間に45億ドルをマーケティング予算として投じる計画である。
・作りのよい消費者向けスマートフォンや携帯機器は、技術開発に取り組むメーカーの姿勢を示す存在だ。これに対して、Dellが従来扱っていたPCは必ずしも創造性を助長する環境というわけではないい。PC産業はほぼ成熟しており、今では、他社よりどれだけ速く安く作るかという世界になっている。しかし、スマートフォンは多くの新たな技術的可能性を秘めており、基本的に小型PCになりつつある。ここ数年、最先端の技術革新はDellやパソコン業界のお家芸ではなくなったが、Appleが実証してきたように、Dellも必ずしも技術的に最先端を走る必要はない。
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