ライバルのアッカ・ネットワークスに、株主提案という形で現経営陣の更迭を突きつけたイー・アクセス。突然とも言える行動の裏には何があったのか。イー・アクセス取締役会長の千本倖生氏らが明かした。
イー・アクセスがアッカ・ネットワークスの取締役である木村正治氏、湯崎英彦氏、広野公一氏の不再任を求めたのは1月16日のこと。イー・アクセスは2007年末にアッカ株を買い増して筆頭株主となり、イー・アクセスの小畑至弘氏、大坂宗弘氏、エリック・ガン氏(非常勤)、石田雅之氏(非常勤)の4名を取締役として就任させるよう求めている。
千本氏によると、今回の提案は「下落した株主価値を向上させることが目的」という。イー・アクセスは2006年8月までにアッカの発行済み株式数の10.3%を購入しており、2008年1月11日時点で同13.1%を保有している。
アッカは2005年3月4日に東京証券取引所ジャスダック市場に上場。上場初日は1株あたり最高値で49万5000円の株価をつけたものの、その後は値下がりを続け、2006年11月には13万8000円にまで下落。NTTドコモと組んでモバイルWiMAX事業への参入を目指したが、免許が取得できなかったことからドコモとの提携も解消。株価は2008年1月16日に12万6000円にまで値を下げた。
「当社の株主に対して説明責任を果たすという観点からも、現在の株価水準は看過できない水準に達している」(千本氏)
イー・アクセスがアッカの株を取得したのは投資目的だったといい、「イー・アクセスとアッカはビジネスモデルがほとんど変わらない。ビジネスモデルを考えると将来性があり、安いかなと思って買い増した」とイー・アクセス取締役のエリック・ガン氏は経緯を説明する。
ただしその一方で、「アッカには過去3年間にわたって協調を呼びかけてきた」(千本氏)といい、何らかの協業を模索していたのも事実のようだ。
一向に上がる気配のない株価に加え、アッカがモバイルWiMAX事業参入のために2007年12月7日に発表した合計115億円の第三者割当増資計画がイー・アクセスの危機感を強くした。「株主価値を下げるやり方であり、株主に対して迷惑な資金調達をされるのが我々としては一番困る。アッカが株主にリスクのある方法を取ると、(イー・アクセスのリスクとなるため)我々の株主に説明がつかない」(ガン氏)
イー・アクセスの株主構成(2007年9月30日時点)を見ると、上位10位のうち、千本氏とガン氏、イーアクセスホールディングスエルエルシーを除く7者が金融機関もしくは証券会社だ。具体的にはモルガンスタンレーや日本マスタートラスト信託銀行、ゴールドマンサックスなど。これらの株主がイー・アクセスの株を保有する目的は投資であり、特にサブプライムローン問題を発端に世界的に株価が下がり続けている状況下で、モバイル事業のために資金が必要なイー・アクセスに対する株主からの圧力は強い。これらの株主に対して自社保有株の価値向上努力を見せることが、イー・アクセスには不可欠だったというわけだ。
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