日立製作所とYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は6月14日、無線通信機能が付いたセンサー(センサーノード)向けに、新たな低消費電力技術を開発したと発表した。理論上、150mAhのボタン電池1個を搭載した超小型センサノードが、約10年間にわたって5分に1回づつ位置検出とデータ送信を続けられるという。
新技術は、複数のセンサーノードをネットワーク管理する「センサーネット」システムに向けるもの。センサーネットは、各センサーノードからモノや人の温度、振動、脈拍といった情報を収集する。外部システムと接続することで、それらの情報をもとに空調や照明の調節、食品衛生管理、災害監視が行える。
日立とユビキタス研は今回、高精度な位置検出を特長とする超広帯域無線通信方式(UWB-IR)を採用した、大きさ1cm角のセンサーノードに新技術を採用した。これによりデータ送信時の消費電力を従来の約6分の1に、受信時は3分の2に抑えられたという。
この低消費電力技術では、センサノードを構成する無線送信回路やマイコンなどの回路ごとに電源供給を制御する。必要なときに必要な回路にだけ電源を供給することで、消費電力を抑える仕組みだ。
また最も消費電力が大きい、受信信号の処理回路(AFE回路)は細かく分割し、部分ごとにに必要なときだけ電力を供給するようにした。さらに受信機能回路の一部を利用して位置検出ができる技術を開発し、位置検出回路の大きさを10分の1に縮小し、必要電力を抑えた。
両社は、6月14日から京都で開催される大規模集積回路の国際会議「Symposium on VLSI Circuits」で、新技術を発表する予定。
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