最終更新時刻:2008年7月5日(土) 0時00分

モバイルチャンネル

ドコモの“村社会論理”露呈--モバイル研で消極姿勢に非難集中

三田隆治

2007/02/06 17:29  

 「市場縮小は確実」(NTTドコモ)「ドコモのシステムは出来損ないか」(研究会)――。

 総務省が2月2日開催した「モバイルビジネス研究会」では、激しい論戦が繰り広げられた。

 携帯キャリア主導による垂直統合型のビジネスモデル、端末の販売奨励金制度、SIMロック(契約者情報搭載カードの利用制限)――など、今ある携帯電話業界の根底を流れるさまざまな問題。

 モバイルビジネス研究会では、これらについてその是非を徹底研究し、国際的な観点から同業界の競争力強化に向けた必要事項を洗い出すことを目的に開催している。その第2回では、オブザーバーとして参加したドコモの消極的な意見に研究会構成員たちの非難が集中し、中にはドコモの主張を消費者無視の“村社会の論理”と痛烈に批判する声も飛び出した。

販売奨励金以外の対案はない

 最初にプレゼンテーションを行ったのはNTTドコモ取締役執行役員の伊東則昭氏。まず、MVNO(仮想移動体サービス事業者)に対して「既存市場の中で争うのではなく新しい市場を開拓するWIN-WINの関係であるべき」と一定の理解を示したものの、「投資リスクを負わずに参入し、“いいとこ取り”をするようなMVNOの参入それ自体を目的とする政策は避けてほしい」と主張した。

 また、同社が大きなシェアを保持するパケット無線通信網やiモードなどの課金・認証プラットフォームの他事業者への開放についても、伊東氏は「競争力の源泉のため開放できない」「セキュリティの確保が前提」と消極的な姿勢に終始した。

 販売奨励金やSIMロック解除の問題については、検討すべき問題であると認識しているとする一方、SIMロックを解除してドコモ製以外の端末を使うと留守番電話サービスなどの付加機能が使えなくなるなどの問題点を指摘し、「対案を出せればいいが現時点ではない」とした。

 さらに伊東氏は、上記の検討事項が実施された場合「市場が縮小するのは確実」とし、端末メーカーや販売代理店の市場にまで影響が及ぶことを指摘したうえで、「国内市場に混乱が生じると、端末メーカーやキャリアの国際進出にも影響が出る」と付け加えた。

国際基準準拠、新規参入考慮の施策必要

 続いて説明をしたソフトバンクモバイルの常務執行役 五十嵐善夫氏は、「垂直統合モデルでは限界がある」としてMVNOにある程度前向きな考えを示した。また、国際競争力については「特定の分野のみの国際競争力強化では不十分」と主張。端末メーカーの海外進出だけでなく、モバイル関連産業全体として競争力強化を実現していく必要があるとの考えを示した。

 SIMロック問題に関しては、ドコモ同様に解除すると利用できる機能は限られてくるとした。携帯キャリア3社が膨大な設備投資を個別に行っている現状に対しては、「設備共用」や「ローミング」を3社間で実施することによる利用者への利益還元を主張した。

 最後に説明したMVNO協議会 幹事会議長の福田尚久氏は、まずラジオやカーナビ、iPodなどを例に挙げ、「消費者が本当に欲しいのは、『これだけ買えばすべてできる製品』である」という説を披露。ハードやコンテンツ、通信が一体となって消費者に提供されることで消費者にわかりやすい製品となり、普及するとした。

 携帯電話の普及について福田氏は、これまでのキャリアの各種施策に一定の評価を示したものの、「携帯電話はすでに普及期から成熟期へと変化している」とし、新たな製品やサービスを創出できる環境への変化が不可欠との考えを示した。

 それを実現するため、福田氏は後発プレーヤーの参入を考慮して過度に低価格で端末を販売する販売奨励金は禁止すべきだと主張。国際基準に完全に準拠した端末・ネットワーク間インタフェースの適用が必要との考えを示し、通信レイヤーでも相互接続に関して透明性を確保した接続料金、卸料金の適正化を図るべきだとした。

 さらに、プラットフォームに関しては、「寡占事業者が先行して保有している」として、新プレーヤーに対する貸し出し義務を設定する必要があると主張した。

新着記事

モバイルチャンネル セレクション

携帯電話の競争は機能からデザインへ--各社の夏モデルをまとめてチェック
携帯電話、PHS事業者4社の2008年夏モデルが出そろった。各社とも、女性やヘビーユーザーではない層に向けた端末を強化しており、競争の中心は端末の機能からデザインへと移ってきている。
携帯電話を使う時間帯、深夜から夕方へ移行
企業のモバイルサイトへのアクセス時間に変化が起きている。これまで深夜に多かったアクセスが減少し、代わりに夕方のアクセスが伸びているのだ。
「悪魔のような施策」「最も公平な手段」--ドコモメニューリストの入札制をめぐる思惑
「悪魔のような施策」--ある大手モバイルコンテンツプロバイダの幹部は、NTTドコモのメニューリストの掲載順位決定方式が人気順から入札制に変わることについて、こう表現する。しかしドコモは、「入札制はある意味最も公平な手段」と説明する。

モバイルチャンネル コラム

■モバイルインターネット業界の基礎知識

電子書籍、デコメ、着せ替えツール--なぜ今このモバイルコンテンツが伸びているのか
近年急成長を遂げたモバイルコンテンツ市場といえば、電子書籍やデコメール、最近ではメニュー等の着せ替えコンテンツだ。なぜこれらのコンテンツが今、伸びているのだろうか。

■モバイルインターネット業界の基礎知識

人気を集めるモバイルコンテンツにも変化の波
モバイルコンテンツ市場においては、音楽とゲームが大きな2本柱になっている。しかしその人気コンテンツは、時とともに移り変わっている。

■モバイルインターネット業界の基礎知識

行動、売れ筋、顧客単価--あらゆる面でPCと異なるモバイルECの世界
今回は、携帯電話による物販を中心とした、いわゆる「モバイルEC」について解説していく。その実態はPCのECビジネスと大きく異なっている。

フォト

企画特集

DELL連載第4回〜「Microsoft System Center」DELL連載第4回〜「Microsoft System Center」
PowerEdgeサーバに最適な運用管理ソリューション後編
今知るべき仮想化情報今知るべき仮想化情報
インフラからアプリケーションまで、これを知らずに仮想化は語れない
「未来の、その先」をどう提言していくか「未来の、その先」をどう提言していくか
クラウドコンピューティングが導く新しいシステム

プロダクトレビュー

ビジネスリーダーズブログ

メンバーズレビュー