無線LAN共有サービスの「FON」が日本上陸--ルータの無償配布も

岩本有平(編集部)2006年12月04日 20時51分

 英FON WIRELESS Limitedの子会社であるフォン・ジャパンは、12月5日より国内で「FON」のサービスを開始することを発表した。

 FON WIRELESSは2005年11月にスペインで設立されたベンチャー企業だ。SkypeやGoogle、Index Venture、Sequoia Capitalらが出資をしている。同社が進めるFONプロジェクトは、同社が提供する無線ルータ「LaFonera」を自分の利用する回線に接続することで、ほかのユーザーが利用できるアクセスポイントを開設できるという無線LANの共有サービスだ。

フォン・ジャパンCEOの藤本潤一氏 フォン・ジャパンCEOの藤本潤一氏

 FONではユーザーを3種類に区分している。1つ目はルータを購入して自宅に設置し、アクセスポイントを無料で開放するかわりに、他のユーザーが解放しているアクセスポイントを自由に利用できる「Linus(ライナス)」。2つ目は、ルータを購入し自宅に設置し、アクセスポイントを有料で開放するかわりに、ほかのアクセスポイントの利用が有料の「Bill(ビル)」。3つ目は、ルータを購入してアクセスエリアを開放するのではなく、有料でアクセスエリアを利用する「Aliens(エイリアン)」だ。

 現在欧米で提供されているサービスでは、AliensやBillへの課金による収益をビジネスの中心にしている。AliensやBillは24時間の利用で3ドルの利用料をFONに支払うことで、LinusやBillが提供するアクセスポイントを利用できる。一方Billは、手数料などを除いた売上高の半分をPayPal経由で受け取ることができる。

 ユーザーは現在全世界で約16万8000人。割合では欧州が最も多く、米国、アジアと続くが、現在中国と韓国を中心にアジア圏でのユーザーが急増しているという。

 フォン・ジャパンCEOの藤本潤一氏によると、国内ではサービス開始後、Linusユーザーの拡大を目指す。2007年末までにLaFoneraを7万5000台販売し、ルータで7000万円程度、Aliensへの課金で1000〜2000万円程度の売り上げを目指す。その後は広告事業やアフィリエイトによる収益を上げる考えだ。Aliensは現在、クレジットカードやペイパルでのみ利用できる。Billのサービス開始時期については明言を避けた。

 今後はインターネットサービスプロバイダー(ISP)やCATV事業者と、レベニューシェアによる提携を進めるほか、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)をはじめとしたコミュニティサービスとの提携も進める予定だ。また、Lafonera設置個所の位置情報と連携させた新しいサービスの提供なども検討する。

Martin Varsavsky氏 FON WIRELESSの創始者でCEOのMartin Varsavsky氏

 サービスの開始にあわせ、フォン・ジャパンでは12月5日から9日までの間、先着1000名にLaFoneraを提供する「5daysキャンペーン」を実施する。また、エキサイトと提携し、同社のブロードバンドプロバイダサービス「BB.Excite」から3000人のモニターを募集し、無料でLaFoneraを提供する。そのほか、エキサイト運営のカフェでのLafonera設置、ECサイト「ショッピング・エキサイト」でも、12月中旬からLaFoneraを販売する。さらに九十九電機とも提携し、12月10日から店舗およびECサイトでの販売を行う。

 ISPによっては契約ユーザー以外のネットワーク接続を規約で禁止している場合などもあるほか、ISPのインフラをただ乗りしているのではないかという意見については、レベニューシェアによる提携が成功していることを強調。FON WIRELESSの創始者でCEOのMartin Varsavsky氏は「全世界で多くのオペレーターがパートナーになっており、事実彼らの収益は高まっている。つまりただ乗りでない」と説明した。

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