カリフォルニア州サンノゼ--「San Jose Grand Prix」の予選を戦うレーシングカーが高速で走りすぎるのを横目に、私はピットに立ち、技術について語り合っている。今までいろいろな場所で話をしてきたが、ここはとりわけ似つかわしくない場所に思える。
だが、実はハイテクとカーレースには密接な関係があり、昨今は特にそれが顕著になっている。私がピットに招待されたのもそれが理由だ。ハイテクがなぜ、どのようにカーレースに採り入れられているかを現場で見極めるために、私はここにやって来た。
正確に言うと、私は今、ハイテク製品小売および関連サービスを手がける大手企業、CDWがスポンサーを務めるRuSPORTレーシングチームのピットにいる。ここで私が見聞きすることはすべて、RuSPORTが採り入れている技術と明確なつながりがある。RuSPORTはこうした技術を使い、スマートな赤いボディーの9番の車が、他の車よりほんの少しでも速いタイムで完走できるよう努力しているのだ。
言うまでもないことだが、レーシングカーは高速で走行する。CDWのフィールドシステムエンジニアであるHoward Weiss氏によると、レーシングカーの速度は最高で時速240マイル(約390km)に達するという。したがって、サーキットを97周も回るようなレースでは、ささやかな工夫や改良の1つ1つが結果となって現れる。
RuSPORTは技術の観点から、主に走行中のレーシングカーからデータを取得し分析することを目指している。最近では、こうした極限の環境に最高の技術を持ち込むことで、勝利の確率を高めることが可能になってきた。
元レーサーで、現在はRuSPORTチームのオーナーであるJeremy Dale氏は、「(技術は)信じがたいほどに重要だ。実のところ、技術なしではいい成績を出せない。サーキット上で技術がなければ、チームが機能しなくなるほどだ」と語る。カーレースのサーキットには、ここシリコンバレーの他のハイテク環境と明確に区別できる特徴がある。「ここはクリーンルームと同じというわけにはいかない。温度や湿度に左右される環境だ」(Dale氏)
Weiss氏によれば、各チームの車は、同じFord Cosworthエンジン(排気量2650cc、最高出力800馬力、V8ターボ)を搭載し、Lola製軽量カーボンファイバーのシャーシがベースとなっているという。しかしそれ以外は、各チームは多くの創意工夫をこらしており、テクノロジーの使い方という点では特にこれが顕著だ。
このChamp Car World Seriesにおいて、各チームが使用している最も重要な技術には、レーシングカーからピットレーンわきの指令センターへの無線送信もあり、送られたデータは即座に分析することが可能になる。車両のいたるところに数多くのセンサーが取り付けられ、速度はもちろん、ブレーキ、タイヤ圧、タイヤローテーション、燃料の残量などが測定されているとWeiss氏は説明した。
RuSPORTの指令センターでは、9番の車が最初の予選走行の周回で記録した速度が、無線データでノートPCに取り込まれているのを、クルーが集まってのぞきこんでいた。2日間の予選走行中にベストタイムを記録した車が決勝レースで優勝する本命と目される。
日曜日の決勝では、Justin Wilson氏がドライバーを務める9番の車は3位という好成績をおさめた。優勝は、Newman/Haas RacingチームのSebastian Bourdais氏、2位に入ったのは、RuSPORTのもう1人のドライバーCristiano da Matta氏だった。
RuSPORTにとってCDWをスポンサーとして獲得したのは、操作も管理もごくシンプルでも、技術によって最高の成果をあげる方法を見つけようとした当然の帰結だった。一方、CDWにとっては、レーシングチームのサポートは、若干状況は異なろうと、通常の方式を実地に活用するチャンスだった。
「RuSPORTへの対処の仕方も、他の小規模事業を展開する顧客への対処の仕方も変わりはない」とCDWの広報担当Clark Walter氏は語った。
RuSPORTは、遠隔測定(テレメトリー)によってレーシングカーから無線で送られてくる重大なデータを判断材料にして、ピットストップの際にどんな変更を加えるかの方針を、車が走行している間に決めているのだとWeiss氏は語った。
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