中国のWi-Fi暗号アルゴリズムが棄却されたことを受けて、不正行為疑惑が持ち上がっている。
中国の国営通信社である新華社通信の報道によると、中国のワイヤレス暗号標準規格を推進する団体である国家標準化管理委員会(SAC)が5月29日、米国に拠点を置く工学技術団体の米電気電子通信学会(IEEE)を謀略および反倫理的な行為により告発したという。
この告発においてSACは、WLAN Authentication and Privacy Infrastructure(WAPI)として知られる中国の暗号技術を棄却し、米国のIEEEの暗号標準規格802.11iを選定した5月の決定を、国際標準化機構(ISO)に再審議させることを訴えている。
新華社通信によると、Wi-Fi規格のセキュリティホールを修正する新技術を各国の参加団体が投票する際、IEEEはISOが規定する倫理上および手続き上の規則に従わなかったとSACは訴えているという。
無線暗号技術は、インターネットユーザーのプライバシーを保護するための技術である。ウェブサイトを閲覧したり、電子メールを送信したりする場合でも、同技術を使うことで、ネットワークを伝搬するデータの読み取りが未許可デバイスからはできなくなる。ほとんどのWi-Fi製品には、Wired Equivalent Privacy(WEP)などの暗号技術が既に導入されている。しかし、WEPを迂回する方法がハッカーらにより見破られているため、さらに強力な暗号技術が必要となっている。
3月、中国がWAPIの詳細を開示することを拒んだため、ISOがWAPIを棄却したと報じられた。このことは、暗号化されたデータへのバックドアからのアクセスがWAPIではできないということを、ISOのメンバーが保証できなかったことを意味している。
IEEEの暗号標準規格802.11iは、Wi-Fiチップの大手Intelが支持している。
WAPIはISOメンバーの32%の支持しか得られなかった。同投票で、802.11iは投票に参加したISOメンバーの89%の支持を得た。
ISOの関係者は5月30日、3月の投票後にISOがSACから「情報を受け取った」ことを認めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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