ボーダフォンは5月30日、2006年3月期の連結決算を発表した。当期の契約者純増数は16万9200契約と、前年度の8万9300契約より7万9900契約の増加となり、「反転攻勢を達成した」としている。経常利益では前年度より51.5%減の744億円、当期純利益は76.2%減の495億円であった。なお、売上高では1兆4676億円と、前年度より0.2%の微減であった。
2006年3月末現在の第3世代(3G)携帯電話契約数は303万7600契約で、前年同月の91万7200契約から212万400契約の増加となった。全契約数に対する比率も、前期の6.1%から20.0%に増加した。ボーダフォンでは増加の原因として、日本のユーザーニーズに合った端末ラインアップの拡大や、ネットワークの改善、新料金プランの提供を挙げた。ボーダフォンは、2006年3月期に11機種の3G携帯電話と4種類の定額サービスを導入している。
営業費用は1兆3913億円と、前期比より6.0%増加している。これは顧客維持活動を積極的に推進したことで買換台数が増加したことなどが原因としている。なお、インフラ整備などの調達価格交渉のとりまとめはVodafone Groupに委託しているが、対価の計算方法を変更したため過年度調整金156億円を特別利益に計上している。これにより、EBITDAマージンは前年比6.9%ポイント減少の20.5%となった。
設備投資額は、計上ベースで前年比で655億円増加し2398億円、キャッシュフロー計算書ベースで1889億円となった。設備投資額のほとんどは3Gに対するもので、これにより3Gサービスエリアの人口カバー率は前年度末の99.8%から99.9%となった。3Gユーザーの満足度調査では、ネットワーク接続において「不満がない」と答えたユーザーの比率が2005年8月の50%から、2005年12月には68%まで上昇している。ただし、常務執行役 財務本部長(CFO)の藤原和彦氏は「不満と答えたユーザーが32%いることが問題」として、引き続きネットワークを増強するとした。
年間総合ARPU(加入者1人あたりの収益平均)は、5890円で前年比4.2%の減少となった。また、新規加入者獲得費用は、1人あたり4万5000円前後だという。加入者およびARPUの動向では、2005年1月から5月にかけてはマイナスの状態が続いたが、2005年6月からはプラスに転じ、特定の相手とのメールや通話が月額315円の定額で利用できる「LOVE定額」を導入した11月から急激な伸びを見せた。
ソフトバンクによるボーダフォンの買収は4月27日に完了し、5月1日からは東京汐留ビルディングで業務を開始している。5月18日に「ソフトバンクモバイル」の新社名と「ソフトバンク」の新ブランド名を発表しているが、これらは10月1日より正式に変更される。ボーダフォンでは現在、新社名などの発表の際に孫正義氏が述べた「3Gネットワークの増強」「3G端末の充実」「コンテンツの強化」「営業体制、ブランディングの強化」の4点をコミットメントとしており、これらの実現を目指すとしている。
今回の買収により、ソフトバンクはボーダフォンの移動体通信にソフトバンクBBのブロードバンド、日本テレコムの固定通信を加え、通信インフラをフルに揃えた。また、バックボーンを共有化することでネットワークのコストを下げ、1500万人のボーダフォンユーザーとソフトバンクグループの1000万を超える回線数を顧客基盤に、より低価格で快適なネットワークを提供していくという。さらに、Yahoo! JAPANなど数多くのコンテンツやソフトバンクの営業力を加え、「4つのコミットメント」を実現していく計画だ。
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