米国時間5月22日、それまで鳴りを潜めていたWi-Fiの新興企業であるWavion Networksが突如としてその姿を現した。Wavion Networksは、フィラデルフィアやサンフランシスコなどの大都市が市全域にWi-Fiネットワークを配備しようとする際に直面する問題の多くを解決する技術を開発したという。
市全域にわたるWi-Fiネットワークへの関心は、ここ1年で爆発的に高まってきている。フィラデルフィアやサンフランシスコ、シカゴなどを含むさまざまな都市において、市全域に無線インターネット接続網を張り巡らす計画が進行中だ。
ただし、アリゾナ州テンペやフロリダ州のセントクラウドなど、一足早く無線LANの配備に取り組んだ都市では、さまざまな問題を経験している。たとえば、インフラ構築業者は、当初の計画よりも多くのアクセスポイントの設置を要求され、サービスの利用者は、屋内にインターネット接続環境を用意するため、家庭内に信号増幅器の設置を余儀なくされている。
カリフォルニア州サンノゼに本社を置くWavionは、ベンチャー投資会社のSequoia Capitalから資金援助を受け、Wi-Fi信号の伝送距離を延ばすだけでなく、信号ロスを大幅に低減させるソフトウェアおよびシリコンを開発したと述べた。これらがあれば、信号増幅器の設置はほとんど必要なくなる。
「どのメッシュ型Wi-Fi機器のメーカーも、屋内使用向けに開発された一般的なチップセットを使用している」と、Wavionのマーケティングおよびビジネス開発部門のバイスプレジデントを務めるAlan Menezes氏は言う。「人々はこれまで、その現行の技術の使用を屋外などの、より厳しい環境下にまで無理に広げてきた。われわれは、本当の意味での市全域への配備に必要なスケーラビリティを提供する技術を開発したのだ」
Menezes氏によると、WavionではMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を利用して、これらの問題を解決しているという。MIMOとは、複数のアンテナを利用し、同一チャネル内で同時にデータを送受信する技術。同氏は、Tropos Networksなどの企業が提供する機器を利用した場合の信号の到達範囲が従来の600フィート(約180m)から1200〜1500フィート(約370〜460m)に拡大されるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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