米NYTimes.comの記事検索の有料化に伴い、米Googleのキャッシュ機能が問題になっている。同機能を利用すれば、NYTimes.comで無料提供しなくなったウェブページもGoogleからアクセス可能になるためだ。
NYTimes.comを運営するNew York Times Digitalの広報担当、Christine Mohanは、「Googleと共同でこの問題の解決に取り組んでいる。GoogleのキャッシュのリンクからNYTimesの会員登録ページに移るようにする」と説明した。
Googleではこのキャッシュ機能を無効にする選択肢を提供しているものの、キャッシュ機能に不満を持つウェブサイト運営者らが訴訟問題に発展させる可能性もある。ウェブ技術の革新は、新機能や新サービスが予期しない結果を招くという不安定さを持ち合わせているが、特にGoogleはこの危険にさらされやすい。毎日数百万人のインターネットユーザーが訪れるGoogleは、技術革新に力を入れている。
1997年にGoogleが導入したキャッシュ機能では、ほぼすべてのウェブサイトのコピーを保存しており、ユーザーはこのコピーにアクセスできる。ウェブページは、Googleが最後に索引をつけた状態で、アクセスが数分前であっても数ヶ月前であってもそのままの形で保存してある。
Googleは、「このキャッシュ機能により、閉鎖したサイトなどのページも閲覧できるため、ユーザーにとって有益だ」としている。また、キャッシュページは検索キーワードに一致した用語をハイライト表示するので、ユーザーは関連情報を検索しやすいという。
Googleによると、正式なウェブアーカイブとは異なり、ページのコピー保存は一時的なもので、無効となったリンクはどんどん抹消しているという。しかし、ウェブページのデータを入手したいユーザーにとっては、Googleのキャッシュページは情報の宝庫だ。元のサイトがなくなっても、Googleのキャッシュページがしばらく残っているので、その間に情報を回収できる。
一方、サイトに特別なコードを追加して、Googleでキャッシュ保存されるのを防ぐウェブサイト運営者もいる。ユーザーが自社サイトではなく、Googleで保存されたページにアクセスしてしまうためだ。最悪の場合には、キャッシュ保存されたページが商標や著作権に抵触する可能性もある。ニュースサイトの修正前の古い情報が記載されているページが保存されていれば、法的問題に発展するかもしれない。ニュースサイトで情報を更新しているのに、ウェブ上には誤った情報が残っているからだ。
大部分の検索エンジンは、検索キーワードに関連したウェブページの情報を保存しているが、そのページの完全なコピーは用意していないことが多い。しかし、Googleはそれより一歩先んじており、ウェブページのデジタル画像を取り、キャッシュ保存したリンクという形でユーザーに公開しているのだ。この画像は、Googleが次に該当ページを訪問するまで、Googleのサイトに一時保存されるという仕組みだ。それは数日後の場合もあれば、6週間以上あとの場合もある。
Googleでも、キャッシュ保存されたリンクページを利用するユーザーは少数だ。また前述のように、自社サイトがGoogleのキャッシュに残らないように設定することもできる。しかし、Search Engine Watch誌の編集長のDanny Sullivanによると、「キャッシュ機能に慎重な姿勢を取っているのは一部のウェブサイト運営者で、多くの企業は影響力の強いGoogleの検索エンジンから漏れまいと、キャッシュ機能を無効にしようとはしない」という。
専門家たちにとっても、商用のキャッシュ保存サービスについては法的に未知の世界である。デジタルミレニアム著作権法(DMCA)では、ISPが会員のためにウェブページをキャッシュ保存することを保護している。しかし、電子フロンティア財団(EFF)の弁護士、Fred Lohmanのように、Googleのキャッシュ機能は同法の保護対象に該当しないとする意見もある。一方で、「裁判ではGoogleのキャッシュ機能が公共にとって有益だと判断される」という見方をする弁護士もいる。Google自身は、同社のサービスが合法であると胸を張っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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