Sprint Nextelが一部資金を援助する新興企業IPWirelessによれば、同社の技術を使用すれば、携帯電話事業者は既存の3G用周波数を使用してテレビ番組を大量に伝送できるようになるという。
携帯電話業界向けにチップや無線機器を製造するIPWirelessは先週、「TDtv」と称する技術を発表した。同社によると、この技術を使用すれば既存の3G用周波数帯でも十分な容量が確保でき、携帯電話事業者はテレビ番組の伝送のために別のオーバーレイネットワークを用意する必要がなくなるという。テレビ番組は比較的多くの容量を必要とする。
この数年、世界中の携帯電話事業者が新サービスを提供すべく、新しい3G無線網を構築するために何十億ドルをも投じてきた。しかし専門家によると、これらのネットワークにはテレビサービスにより生じる大量のトラフィックを処理する能力が備わっていないという。
理由は簡単である。3G無線網は、信号が単一の送信者から単一の受信者まで伝送されることを意味する「ユニキャスト」を想定して設計されているのである。これは、異なる利用者がテレビを視聴しようとするたびに、同じコンテンツがネットワーク上で再送信される必要があることを意味する。これにより貴重な周波数が使い果たされてしまう。
QualcommとCrown Castle Internationalは、それぞれグループ会社MediaFloと事業部門のModeoを通して、3G網のための放送用オーバーレイネットワークを構築中である。両社はライブのテレビ番組を伝送しようとする携帯電話事業者にこれらのネットワーク容量を卸売りする計画である。
IPWirelessはモバイルテレビの問題を解決するために異なるアプローチをとった。同社は別のネットワークを構築する代わりに、ラップトップPCやその他のインターネット機器に高速無線アクセスを提供するUMTS TD-CDMA規格を採用し、これにより無線信号をユニキャストではなくマルチキャストで伝送できるようにした。この新たなTDtv技術を利用するためには、携帯電話事業者は追加的な電波のために電波塔のアップグレードが必要となる。
「われわれの取り組みと、MediaFloやModeoによる計画との大きな違いは、こうだ。われわれの技術を使う携帯電話事業者は依然としてネットワークを自社で保有し、運営することができる」とIPWirelessのCEOであるChris Gilbertは述べる。「経済効率が良いかぎり、携帯電話事業者は他事業者と収益を共有するよりは、自らネットワークを保有して運営することを選ぶであろう」(Gilbert)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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