NTT(持株)は11月9日、グループの再編計画を発表した。これまで通信距離に応じて分割されていたNTT東日本、西日本、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)の役割を見直し、インフラをNTT東西が、ネットワークを利用したサービスをNTTコムが担うようにする。また、gooを運営するNTTレゾナントはNTTコムに統合させる。
通信網を電話交換機を使った銅線網からIPベースの光ファイバ網へと移行させ、通信距離にかかわらず、また固定通信と移動体通信の区別なくサービスを提供するのが狙いだ。次世代ネットワーク(NGN)と呼ぶ光ファイバベースのIP網の構築にあわせて、グループ各社の役割を変化させる。
まずNTT東西は、次世代ネットワークの構築と通信サービスの提供を担当する。NTTドコモと協力し、固定・移動体通信を融合した通信サービスも開発する。
NTTコムは法人向けのソリューションサービスのほか、インターネット接続サービスやIP電話、映像配信サービスなどNTT東西が提供するインフラを利用したオンラインサービスを提供する。NTTレゾナントは2006年夏をめどにNTTコムと統合する。また、NTTグループ各社が提供するインターネットサービスはNTTコムに集約させる。
NTTコムが現在提供しているIP-VPNなどの通信サービスは、今後も引き続き同社が提供する。NTTコムはバックボーンも保有しているが、この運営をNTT東西に移行させるかという点については、次世代ネットワークができた時点で検討するという。
なお、現在提供している固定電話網については、現行どおりNTT東西とNTTコムが県内、県間、国際電話を分担して提供する。しばらくは次世代ネットワークと固定電話網が並存することになるが、この取り扱いについては2011年3月期までに次世代ネットワークの需要動向をみながら決定するとしている。
次世代ネットワークの構築にむけ、NTT東西は2007年3月期の下期から、IP対応の中継機や光ファイバの伝送容量を高める光波長伝送装置を導入して、中継網をIP化する。その後、2008年3月期の下期にはルータ等のエッジノードやサービス制御機能を導入し、IP網を利用したサービスを本格的に展開する。これに先立ち、2007年3月期の下期には提供エリアやユーザーを限定したフィールドトライアルを行う。ここでは高精細映像の品質制御機能やIPマルチキャスト機能、不正アクセス防止機能、固定・移動体連携機能などについて技術検証をする。このトライアルは情報家電メーカーやASPと連携して進め、他の通信事業者やISPにもインタフェースを開示するという。
固定通信と移動体通信を組み合わせた、いわゆるFMC(Fixed-Mobile Convergence)サービスについては、WiFiとFOMAの両方に対応する端末を個人ユーザーにも提供する。また、ユーザーが応答しなかった場合に固定・移動体の双方で通話を転送する機能や、料金のセット割引サービスも提供していく。これらのサービスはNTTドコモとNTTコミュニケーションが担当する。
法人向けサービスについては、NTTコムがグループの顧客窓口となる。また、オープンソースソフトウェア(OSS)を利用したソリューションを強化するため、グループ内に分散しているOSS関連業務を統合する。ただし、地域密着型のサービスについてはNTT東西が引き続き担当するとしている。また、ソフトウェアや情報システムのソリューションについては、NTTデータが中心となって対応する。
NTTでは2011年3月期までに光ファイバを使ったBフレッツの加入者を3000万件にするという目標を掲げている。この実現に向け、1回線で複数の番号が利用できるサービスや定額制の導入、IPベースのテレビ放送を実現するための映像配信用マルチキャスト通信機能の充実といった点に取り組む。また、これらのサービス展開にむけ、情報家電メーカーとのアライアンスを進めていく。
NTTは同日、2006年3月期の中間連結決算も発表している。営業収入(売上高)や営業利益の半分弱を占めるNTTドコモの不調が響き、減収減益となった(表1)。NTTドコモの料金値下げや端末の販売量の減少による影響が大きい。通期の予想については、データ通信関連が伸びるとして上方修正している。売上高は前年同期比0.9%減、営業利益は同4.2%減にとどまる見通しだ(表2)。
表1:2006年3月期上半期(4〜9月)決算
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表2:2006年3月期連結業績予想値
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