サンフランシスコ発--市民に無線インターネット接続サービスを手頃な価格、あるいは無料で提供する米国初の都市を目指すサンフランシスコの取り組みに対し、Googleが同サービスの提供元として名乗りを上げている。だが、サンフランシスコ市長のGavin Newsomは米国時間3日、このような計画を進めるに当たっては、訴訟や法整備などの問題に直面する可能性が高いとの見方を示した。
Newsomがサンフランシスコ市庁舎で開かれた記者会見で語ったところによると、同市の計画には反対者も多く、中でも大手電話会社のSBC CommunicationsやVerizon Communications、さらにComcastなどのケーブル企業は公式/非公式に同計画に反対しているという。サンフランシスコではすでに低価格のインターネット接続サービスが広く一般に提供されており、その点を考慮するとこの計画は「無謀」というのが反対派企業の主張だという。
Newsomは「彼らが正しいか、われわれの目の付け所がいいかのどちらかだ」と述べ、ブロードバンドサービスの利用に関する貧困層と富裕層の情報格差を是正するための自身の計画に強い自信を示した。
「(情報格差の解消は)不可避であり、長年先送りされてきた問題だ。市民の誰もが情報にアクセスする基本的権利を有している」(Newsom)
Newsomによると、同氏のオフィスは2005年8月に、サンフランシスコ市内の「全ての場所」で無線インターネット接続サービスを利用可能にするWi-Fiネットワークの構築に関して、民間部門を対象に提案や意見の募集を開始したという。募集は9月30日に締め切られ、インターネットサービスプロバイダのEarthLink、サンフランシスコに拠点を置く新興の無線企業Feeva、携帯電話会社のCingularなど、多種多様な企業から24件の提案が同市に寄せられた。また同市にはこれまでに、計画を支持する意見と、計画を冷笑する意見の双方合わせて280件の意見が寄せられている。
サンフランシスコの技術/情報サービス部門担当ディレクターChris Veinによると、同氏はこれまでに寄せられた全ての提案の詳細な検討は行っていないものの、それらの案は全て、さまざまな可能性を秘めたものだという。Newsomによると、同プロジェクトを民間企業のみで実施するか、官民合同で行うか、市所有のプロジェクトとするかは未定だが、現在検討されている案はいずれもサンフランシスコの納税者に「ほとんど負担をかけない」案ばかりだという。
各案には企業秘密が含まれている可能性があるとして、VeinとNewsomの両氏は特定の案の詳述は避けたが、Newsomはいくつかの選択肢の概要を述べた。
例えばGoogleは、同社がWi-Fiネットワークを無償で建設する提案をした。またVeinから社名は明らかにされなかったが、サンフランシスコのためにWi-Fiネットワークの設計、構築、運用を無償で行い、さらにネットワークから得られる収入も同市に提供する案を提示している企業が少なくとも1社あるという。Veinによると、その企業は、プロジェクトの運用資金を獲得する手段として広告を販売することを提案したという。
しかし、記者会見では、Wi-Fiアクセスサービスを提供する企業が、例えば広告を送信するためにユーザーの位置情報の収集を目論むのではないか、との質問が出された。この質問に対しNewsomは、利用者のプライバシーは懸念材料の1つであると答えた。
Newsomは、向こう3週間以内にVeinを含む5〜7人のメンバーで構成される委員会を設置し、同市に寄せられた案を分析し、それらに関する提言を行う予定だ。
Veinによると、最終的な目標は、インターネット接続を可能にするアンテナを市内に多数設置するなどして、サンフランシスコをWi-Fiネットワークで覆うことだという。しかし、サンフランシスコは丘陵地が多いことから、市内全域にWi-Fiネットワークを行き渡らせるうえで解決すべき課題や検討材料は多い。光ファイバを使った接続、WiMax技術の導入なども検討事項に含まれている。
VeinとNewsomは2006年中のネットワークの運用開始を目指していることを示唆した。Newsomは5〜6カ月以内にネットワークの建設を開始する可能性があると語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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