NEC、第3世代携帯電話のインフラ事業で急成長のロシアに本格参入

別井貴志(編集部)2005年07月12日 18時07分

 NECは7月12日、ロシア連邦モスクワ市に6月9日付けで第3世代携帯電話用インフラ事業を手がける「NEC Infocommunications(NEC Infocom)」を設立し、7月1日から営業を開始したと発表した。資本金は1400万ルーブル(5300万円)で、資本構成はNECが90%、NECヨーロッパが10%となっている。

 NECのロシアにおける事業は、「モスクワ駐在員事務所」と、パソリンクを中心とした無線機器のエンジニアリングや保守、技術サポートなどを行う技術支援センター「Radio Technical Center」、局用交換機の製造や販売を行う合弁会社の「Closed Joint Stock Company NEC Neva Communications Systems」(NEC Neva)の三拠点体制で対応してきた。なお、NEC Nevaの出資比率はNECが45%、現地パートナーが35%、住友商事が10%、三井物産が10%となっている。

 NECでは、ロシアのICT(Information and Communication Technologies)市場が今後本格的な成長に向け、急激な拡大が期待されるため、NEC Nevaに加え、駐在員事務所とRadio Technical Centerを統合し、新会社のNEC Infocomを設立することにした。新会社は、NECが従来の局用交換機や光、幹線マイクロ、パソリンク事業などで蓄積したロシア通信インフラ市場におけるプレゼンスやノウハウ、通信事業者との関係を最大限に活用する。

 ロシアのICT市場についてNECでは「1998年のロシア金融危機を契機に投資が凍結されてきたが、2000年頃より回復基調となり、現在は低いICTインフラ水準を挽回すべく急伸している」と説明する。さらに、「ここ近年は、特に携帯電話が爆発的に普及しており、巨大な市場を形成しつつあるほか、主要都市間の基幹通信網やアクセス網のブロードバンド化も進展している」と市場に懸ける環境が整ってきたことを強調した。

 新会社は、当初NEC Nevaとの連携のもとで本格化するモバイル市場に対して、2006年以降の商用サービス開始が見込まれる第3世代携帯電話用のインフラ事業へ本格参入を目指す。NECはロシア最大の携帯電話事業者「モバイルテレシステムズ」向けのリングバックメロディ、iモードプラットフォームというモバイルソリューションで参入している。こうした付加価値のソリューション提供を基軸にして、保守や技術支援、ソフトウェア、ネットワーク設計などへの体制を整える。

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