PtoPソフトウェアはこれまで、違法コピーした楽曲ファイルのネット上での交換を容易にするとして、非難される存在だった。だが最近、多くの携帯電話機メーカーや携帯電話事業者が、このPtoPソフトウェアを採用する動きを見せ始めている。目的は、初期段階にある自分たちの音楽ビジネスを強化することだ。
Nokiaは、「Nokia 6600」モデルの端末同士でテキストファイルや写真を交換できるようにするPtoPソフトウェアを開発したという。将来的にはこのソフトウェアを介して、楽曲ファイルを交換することも可能になる。
こうした取り組みを進めるのはNokiaだけではない。三菱電機もPtoP電話機の試作品を開発したと述べる。また3週間前には、カナダの携帯電話事業者Rogers Wirelessが、同社の音楽ダウンロードサービス用のマーケティングツールとしてPtoPソフトウェアを使い始めた。Rogersのサービスを利用すると、ユーザーは楽曲の最初の30秒だけを友人の携帯電話に送信することができる。楽曲ファイルを受け取った友人は、その曲が気に入れば、楽曲全体を購入することが可能だ。
ではなぜ、携帯電話がファイル交換天国となりつつあるのか。どうやら、その理由は、携帯電話事業者が自社のネットワークを厳しく管理していることにあるらしい。携帯電話は事業者の占有ネットワークを利用して通信を行うため、携帯電話事業者は送信データを細かく追跡できる。また携帯電話事業者は、デジタル権利管理ソフトを既に用意しているほか、ユーザーに緊急電話サービス911を提供するため、発信元を追跡する技術も保有している。そのため、携帯電話事業者は、違法なファイル交換を行うユーザーを容易に特定することができるのである。
このような厳しい管理システムはまさにレコード業界が探し求めていたものだ。最近、レコード会社のEMIは、携帯電話用PtoPソフトウェアメーカーのMelodeoに自社の音楽カタログへのアクセス権をライセンス供与した。Melodeoは現在、米国内の携帯電話事業者と交渉を進めており、Rogers Wirelessの新サービスでも同社のソフトが利用されていると、MelodeoのシニアディレクターStan Sorensenは語る。
「通信事業者もレコード会社も、無料ファイル交換が行われた時代にさまざまことを学習した。そして現在は、お金を儲けることを前提として、ファイル交換サービスを展開しようと考えている」とSorensenは言う。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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