KDDIは6月15日、au携帯電話において、データ通信速度が下り最大3.1Mbps、上り最大1.8Mbpsの新サービスを2006年中に展開すると発表した。
これは現在の通信方式であるCDMA2000 1x EV-DO方式を機能拡張した「EV-DO Rev.A」と呼ばれる方式を使ったもの。サービスの種類に応じて送受信するパケットの優先制御ができるため、品質保証(QoS)が可能になるという。既存の通信方式との下位互換性を備えており、EV-DO Rev.Aのエリア外でもcdmaOneやCDMA 1Xのネットワークに接続して通信ができる。
KDDI代表取締役社長の小野寺正氏 |
上り回線の高速化と品質保証によって、「例えばテレビ電話のようなことも可能になる」とKDDI代表取締役社長の小野寺正氏は話す。ただし、具体的なサービス内容については未定としている。EV-DO Rev.Aを利用した場合でもパケット定額制が適用される予定で、「EV-DO Rev.Aを利用したからといって通信料金が上がることはないだろう」(小野寺氏)としている。
さらに2010年ごろには、下り100Mbps超の高速通信サービスも登場しそうだ。KDDIは第3世代携帯電話の通信技術仕様の標準化を行う団体「3GPP2(3rd Generation Partnership Project 2)」が、超高速の次世代CDMA2000無線方式の標準規格を策定することに合意したことを明らかにした。この規格は通信速度が下り100Mbps〜1Gbps、上り50Mbpsで、音声通信容量を向上させてVoIPを実現できるというもの。現行のCDMA 2000システムとの互換性は維持される。KDDIを筆頭に大手通信機器メーカーなど29社が提案しており、2007年中の規格化を目指す。
「2008年以降に(規格に準拠した機器を使った)実験が行われ、2009年から2010年にはサービスが始まるのではないか」(小野寺氏)
IPv6、モバイルWiMAXも採用へ
KDDIではさらに、この次世代CDMA2000を含む無線通信と有線通信のネットワークを統合した固定移動統合網を2007年ごろから構築することも明らかにした。これにより、固定・移動体を問わず、高速データサービスやマルチメディアサービスをシームレスに展開できるようになる。「家庭内にデータサーバーを置いてコンテンツを保存し、携帯電話やカーナビなどいろいろな端末からコンテンツを楽しめるようになる」(小野寺氏)
このネットワークはIPv6ベースとなる予定だ。「数千万台の携帯電話にIPアドレスを割り振るためには、IPv4では不可能だ。1台の端末が複数のIPアドレスを持つようになれば、全く新しいサービスも展開できるようになる」(小野寺氏)
さらにKDDIは、モバイルWiMAXと呼ばれる802.16eの商用展開も視野に入れている。802.16eは通信速度が15Mbps(5MHz幅利用時)の高速無線通信規格で、現在IEEE(電気電子学会)において標準化が進められている。KDDIは中核メンバーとして規格策定に参加しているといい、10月ごろの仕様完成を目指している。具体的な商用化時期については未定だが、1台の端末でCDMA2000と802.16eの両方が利用できるデュアル端末を展開する考えだ。
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