イー・アクセスは5月31日、同社が検討中のW-CDMAならびにHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)方式での高速ワイヤレス通信事業におけるインフラストラクチャーを活用し、ニフティが仮想ワイヤレス通信事業者(Mobile Virtual Network Operator:MVNO)として事業を展開する可能性について共同で検討することに合意したと発表した。MVNOは、無線通信設備を持たない事業者が、通信設備を一部借り入れてサービスを提供する事業者のことだ。
イー・アクセスは、2006年にも携帯電話事業に参入する意向を表明している。1.7GHz帯を使った下り最大14.4MbpsのHSDPA方式の屋内実験を完了し、携帯電話事業を行う予定である同社の子会社のイー・モバイルが、総務省から5月19日付けで1.7GHz帯の実験局本免許を取得した。HSDPA方式は携帯電話のデータ通信を高速化させる技術だ。NTTドコモやボーダフォンが採用するW-CDMA方式の一種で、第3世代(下り最大384Kbps)よりも高速なことから第3.5世代と呼ばれている。
さらに、同社ではW-CDMA(HSDPA)を補完するシステムとして、1台のアンテナで半径約50kmをカバーし、最大70Mbpsの通信が可能とされ現在標準化が進められているMobile WiMAXの利用を総務省に提案している。
このように、次世代の携帯電話事業に意欲的だが、「どのようなサービス内容と価格体系で提供するべきなのか、またそのサービスを提供するためのシステムはどのように構築すればいいのかなどを、現段階でインフラ提供企業である当社だけで検討するのは非常に難しい」(広報)と言う。そこで、ISPの大手の一角であるニフティと協力して、こうした事業化へ向けたさまざまな検討を重ねていく。
ISP業界としては、インターネット接続サービスが浸透したことで、ほかの事業機会を得ようと模索しているところで、次世代携帯電話事業への関心も高い。ニフティでも「我々はすでにPHSでMVNOの経験があるが、携帯電話も非常に期待している分野で、どういったビジネス展開ができるかイー・アクセスの仕様などを見ながら一緒に検討していく」(広報)としている。
ただし、イー・アクセスでは「協力関係を結べるならば、他のISPと事業化について検討していくこともあり得る」と言う。
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