イー・アクセスは2月10日、2006年度中にHSDPAと呼ばれる通信方式を利用して携帯電話事業に参入する方針を固めた。同社代表取締役社長兼COOの種野晴夫氏が都内で開かれた会見で明らかにしたもの。
HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)方式は通信速度が下り最大14.4Mbpsの高速無線通信方式。NTTドコモやボーダフォンが採用するW-CDMA方式の一種で、第3世代(下り最大384Kbps)よりも高速なことから第3.5世代と呼ばれる。 NTTドコモも2005年度中にHSDPA方式を使ったサービスを始める計画を発表している。
イー・アクセスは2006年の番号ポータビリティ制度(契約する事業者を変更しても、同一の電話番号を利用できる制度)導入に合わせて携帯電話事業に参入する計画だ。PCからインターネットに接続した場合でもデータ通信料を定額とするサービスを検討しており、音声通話についても現在の事業者の半分を目指すとしている。
イー・アクセス代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏 |
全国の主要都市からサービスを始め、数年内に人口カバー率95%以上を目指す。設備投資額は約3000億円と既存事業者に比べて少ないが、「2006年には第3世代携帯電話が中心となるだろう。システムの価格は以前よりも安く、信頼性は高くなるはずだ」とイー・アクセス代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏は自信を見せている。10%のシェア獲得を目標とする。
通話端末のほか、デジタル家電に搭載可能な通信モジュールの提供も予定している。また、通信インフラを別の企業に貸し出すMVNO(Mobile Virtual Network Operator)サービスも計画中だ。同社はADSLでも通信回線のみを提供しており、同様のサービスを携帯電話でも行う考え。通信部分はイー・アクセスが担当し、サービス部分はISPが担当するといった形態が考えられる。
こうした携帯電話事業への参入を目指し、イー・アクセスはLucent Technologiesおよび富士通と共同で、1.7GHz帯での実証実験を行うことで合意したことも発表した。実験免許が下り次第、共同で実験を行う計画だという。具体的には1.7GHz帯の電波伝搬試験や、HSDPA方式などの先端技術の確認試験などを行うとしている。
LucentはHSDPA対応の基地局装置や3G移動通信交換局、ネットワークゲートウェイなどを提供する。富士通は基地局やコアネットワーク、試験用端末やツールを提供するほか、システムの設計、構築、運用など実験にかかわる業務のサポートを担当する。
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