携帯端末の機能が進化するにつれ、端末のソフトウェアに問題が生じるケースも増加しつつある。こうした問題が起こった際に、OTA(Over-the-Air:無線)でソフトウェアの問題の診断から修復までを行う技術を提供するのがビットフォンだ。同社は10月12日に都内で会見を行い、新製品群を発表した。
米Bitfoneの会長兼CEO、ジーン・ワン氏は、「携帯機器が複雑化し、問題の発見や診断がより難しくなってきた。従来方式によるソフトウェア保守では、店頭販売員やカスタマサービスが個別対応するためコストがかさみ、リコールとなった場合は配送や管理の手間はもちろん、ブランドイメージの低下にもつながる。こうした問題で携帯電話業界が被るコストは年間80億ドルにものぼっている」と説明する。ビットフォンのOTAによるソフトウェア管理ソリューションを利用すれば、コスト削減にもつながるというわけだ。
Bitfone会長兼CEOのジーン・ワン氏 |
今回発表されたのは、OTAで問題を発見するSmartCare、問題の修復をOTAで行うmProve 4.0、新規サービスや追加機能をOTAにて提供するMobile Variance Platform(MVP)だ。
SmartCareは、Bitfoneが今年8月に買収したMobile Diagnostixが提供していた技術。携帯電話のカスタマサポート担当者を支援するソリューションで、データ通信機能つきの携帯端末を遠隔診断する機能を備えている。端末より自動的に情報収集し、データを分析、問題の解決方法を提示するとともに、OTAにて問題修復も可能で、サポート業務を軽減することができるという。
mProveは、OSなども含めたソフトウェアのアップデートや修復をOTAで行うソリューション。新バージョンとなる4.0では、アップデート時間が前バージョンの半分に短縮されたことに加え、アップデートパッケージの小型化も実現した。
MVPは、Open Mobile Alliance(OMA)準拠の携帯端末に対応可能なOTAソフトウェア管理サーバ。Device Lookup Registerというデータベースが備わっており、端末利用者のデバイス使用の状況を取得できるとともに、地域、業種、年齢層などで顧客クラスを分類し、対象を絞り込んだマーケティングやメンテナンスが可能だという。
現在OTAによる同様のソリューションは、端末メーカーが独自に開発しているほか、米InnoPathからも提供されているというが、ビットフォンは「SmartCareというカスタマーケアのソリューションまで提供できることと、標準準拠の製品を提供していることが強み」(ワン氏)という。標準化については、来月OMAにて同社の採用するファームウェアアップデートオブジェクト仕様が承認される予定だというが、「われわれは標準準拠であることを非常に重視している。メーカーごとに違った技術を導入すると、それぞれのサポートが大変だ。携帯電話キャリアのコスト削減、リスク削減、さらにはグローバル展開にあたって、標準化は重要な役割を果たす」とワン氏は説明する。
ビットフォンの製品は、すでにNTTドコモの提供するソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製の端末に採用されているという。今回の新製品発表で、他の端末メーカーやキャリアにも積極的にアプローチしたいとワン氏は述べた。
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