Intelが、消費者向けデスクトップPCにWi-Fiアクセスポイントを内蔵する計画を中止した。同社では、今年に入ってからこれまで製品関連の失敗が何度も続いている。
Intelでは、Intel Express 915チップセット専用メモリコントローラハブ、Wi-Fiカード、セットアップソフトウェアをバンドルした「Intel Wireless Connect」を、PCメーカー向けに第4四半期に出荷する計画だった。Wireless Connectを利用すると、PCが家庭のワイヤレスネットワークハブとして機能するようになる。そのため、IntelではWireless ConnectがWi-Fiネットワークの普及を促進してくれるものと期待していた。
しかし同社は、PCメーカー各社からのフィードバックを評価した結果、2004年後半から2005年初頭にかけて現行世代のチップセットにWireless Connectを搭載する計画を中止した。将来登場するチップセットにWi-Fi機能が搭載される可能性はあるものの、この機能が現行のデスクトップ用チップセットに搭載される計画はなくなった。Intelでは、チップセットの大規模なアップデートを1年に1回程度実施している。
IntelのDigital Home推進担当ディレクターBill Leszinskeによると、今日ではWi-Fiアクセスポイントが低価格化しており、なかには30ドルで販売される製品もあるため、このオプションは不要だとの話がPCメーカー各社からあったという。このバンドルは当初、一連の夏モデルPCと一緒に登場するはずだったが、Intelは技術的な問題を理由にこの計画を取り止めた。
「この件についてはOEM各社と時間をかけて話し合ってきた。今年中に91xおよび925の両プラットフォームで(Wireless Connectを)製品化する予定はない。OEM各社は『現時点では(Wireless Connectの)必要性を感じない』と考えているので、われわれとしては保留することにした」(Leszinske)
この動きにより、Intelは、Wi-Fiアクセスポイントで競合するLinksysやNetGearなどの市場拡大を容認することになる。また、同時にこの動きは、Intelのデジタルホーム戦略の転換も意味する。今後同社は、デジタルホームの基本部品をすべて提供する代わりに、Entertainment PCといった新しいタイプのPCを設計する作業に重点的に取り組んでいく。また、PCやテレビなどの各種デバイス間でのコンテンツ共有の促進については、Digital Living Network Alliance(DLNA)などを通じてデジタルホーム標準の普及を推進する。Leszinskeは、DLNA標準を採用したデバイスがまもなく登場すると述べた。
業界の主導的役割を果たすとして注目を集めるIntelは今年、例年になく多くの失策と失敗を繰り返してきた。その例としては、テレビ向けチップの計画延期や、デスクトップ用4GHz版Pentium 4の出荷を第4四半期から2005年第1四半期に延期したことなどが挙げられる。また、これ以前にも、製造上の問題から915チップセットのメモリコントローラの一部にリコールが発生している。これらの問題を受け、最高経営責任者(CEO)のCraig Barrettは、気持ちを引き締めて業務に従事するよう社員に通達していた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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