Wi-Fiセキュリティの標準規格が間もなく最終承認される。これにより、これまでセキュリティ面が弱く成長が伸び悩んできたWi-Fi市場は、信頼を回復しようとしている。
米電気電子技術者協会(IEEE)は米国時間24日、802.11i規格の現行バージョンが、業界の標準規格として十分信頼に足るものか否かの判定を下す予定だ。IEEE 802.11ワーキンググループ広報責任者で、AbsoluteValue SystemsバイスプレジデントのBrian Matthewsによると、現行ドラフトは調査委員会をすでに通過しているという。
Wi-Fi製品を使って構築した無線LANでは、デバイス同士が約45メートルの範囲内でデータを送受信することが可能だ。最終的な802.11i規格は、これらのネットワークを通して送出されるデータが確実に暗号化され、傍受されても暗号が破られないことを保証するものだ。
802.11i規格は業界標準に採用されるだけなく、ビジネス上の観点からは、無線ネットワーク業界の景気促進をあと押しをするものと見られている。Wired Equivalent Privacy(WEP)のようなこれまでのセキュリティ対策は、ハッカーに簡単に破られてしまったため、セキュリティを意識する多くのIT管理者は無線ネットワーク機器に対して慎重な姿勢を示すようになっていた。
無線ネットワーク業界は、これらの懸念を打ち消し、機器の評判を回復させる方法を検討してきた。その間に、Wi-Fi Protected Access(WPA)が開発され、2003年初頭に公開された。WPA公開後、企業各社は802.11iの開発に着手した。
無線ネットワーク市場は、企業からの売上が2002年に停滞したが、消費者からは割引価格の特典が受け入れられ、支持された。その1年後、企業が徐々に無線ネットワーク製品を再購入するようになった。
802.11iの新機能の多くはWi-Fi機器ですでに採用されており、売上に大きく貢献してきた。Intelでセキュリティ業界へのマーケティングを担当するディレクターのRobin Ritchによると、802.11iの最も重要な機能は、128ビット、192ビット、256ビットのキーをサポートする強力な暗号化規格Advanced Encryption Standard(AES)だという。
「各メーカーは、自社製品を差別化するためにネットワーク管理と使い易さを売り物にするようになっている。セキュリティ面はようやく十分なものになってきた」(Ritch)
Ritchはさらに、IntelのCentrinoチップが802.11i規格に対応する予定で、市場に出ているすべてのCentrino製品も年末までには同規格へアップグレードできるようになると、付け加えた。Intelは、規格が正式に承認された後に、アップグレード方法やその時期について発表する予定だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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