ウルトラワイドバンド(UWB)をベースにした次世代の無線ネットワーク技術に関して、規格統一の望みが薄れつつある。
Multiband-OFDM Alliance(MBOA)はすでに、IEEE 802.11のような統一標準策定を目指すはずだった802.15.3タスクグループを事実上見放し、また新しい標準のなかで以前に合意していた部分を放棄して、代わりに独自のアイデアを推すことも決定している。
UWBは、無線ネットワークを利用して、秒間ギガビット程度の転送速度で、ビデオやオーディオなどのデータをPCなどのデバイスに送るための、近未来の重要な技術と見られている。業界紙のEE Timesの報告によれば、IntelとTexas Instruments(TI)が率いるMBOAは、UWBの「可搬性や家電製品における要求その他の問題を解決するため」に自陣営の提案に変更を加えたという。
これに先だって、MBOAと対立するMotorola主導のDirect Sequence UWBというグループが、MBOAのアプローチに見られる弱点として、この部分の問題を指摘し、MBOAの技術はこうしたエリアで「うまく動作できるかを証明していない」と述べていた。Motorolaは、802.15.3a標準のなかにあるこれらの問題を解決するため、無線ネットワークの物理層(PHY:実体は送信機と受信機を制御するコード)に仕様の追加を提案していた。
だがMBOAは、物理層ではなく、MAC(Media Access Control)層に機能追加を行うことで、UWBをより幅広い製品に適用させるつもりだと宣言した。MAC層とは、ネットワークのアドレッシングを取り扱う上位レイヤのソフトウェアを指す。現在はMBOAによって拒否されているものの、802.15.3 MACに関する同意はすでに存在しており、MBOAの決定は標準化プロセスからのMotorola陣営の排除ということに他ならない。
MAC層へ新たに追加された機能のなかには、モバイル機器や「メッシュ」向けの機能、さらにはこれまでよりも効率的に帯域幅を共有するための方法などがある。なお、メッシュとは複数のUWB対応機器がアドホックに独自のネットワークをつくり出した状態を指す。
ところが、Motrolaは既存のMACでは役に立たないというMBOAの主張に異論を唱えている。「MAC層の利用は、多くのユーザーにフルクオリティのサービスやサポートを提供するCE A/V(Audio/Video)アプリケーションに向いていることが、すでに証明されている」と、MotorolaのUWBオペレーション担当ディレクター、Martin Rofheartは述べている。「数々のシミュレーションを経て、現在では実装済みだ。これは成熟した証明済みの技術だ」(同氏)。MBOAは、もし新しい提案に取り組むことになれば、既存のMACに関するインプリメンテーションを大幅に手直しする必要があることを認めている。
こうした意見の食い違いはあるものの、UWB関連の主要なプレーヤーはみな、ハードウェアの初期バージョンが今年後半もしくは来年はじめに登場し、また消費者向けの製品も来年後半には発売されると予想している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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