大停電で汚点を残した携帯電話

 携帯電話はまたしても災害時に役に立たなかった。

 米国時間8月14日に米国北東部からカナダ南東部一帯で発生した大停電では、人々が頼りにした携帯電話の大半が通話不能に陥った。同15日に米最大のキャリアであるVerizon Wirelessが声明の中で認めたところによると、停電発生後に通話することができたのは、あきらめず継続的に通話を試みた人だけだった。

 さらに、米国の上位6社の携帯電話会社は同15日午前になっても復旧作業を継続中だったという。

 電話会社各社では、携帯電話の通話トラフィックを処理する通話送信基地の停電が続いたことが、通話不能となった原因だとしている。

 米Nextel Communicationsの広報担当であるChris Grandisは、「携帯電話の通信施設には電力供給が必要で、それが供給がなければ我々にはどうすることもできない」と語った。

 これらの送信基地は電力で稼働しており、その大半には3〜6時間分の稼働を可能にする非常用の予備電源が備えられている。しかし、今回の大停電が6時間経過後も復旧しなかったため、その時点で稼働していた送信施設も稼働停止に追いやられた。

 米国で多数の携帯電話加入者が、災害時に通話の不備を経験したのは今回が2度目だ。最初は2001年の9月11日に起こったテロリストによる攻撃の際で、この時は世界貿易センタービルに設置されていた携帯電話のアンテナが破壊されたことと、過大なトラフィックが携帯電話を通話不能にしてしまった。

 Verizon Wirelessによると、14日の大停電でも携帯電話による通話が同様に急増し、当該地域では通常の4倍のトラフィックが発生したという。

 IDCのアナリスト、Keith Waryasは、米国の1億4600万人の携帯加入者は今後も緊急時には問題を抱えることになるだろうが、今回の大停電が電話通信会社の教訓となり、通信網の停電時対策は強化されるだろうと考えている。

 14日以来、米北東部の地域では、多くの携帯電話加入者が携帯電話への移行で使わなくなっていた通常の有線電話に戻ってきた。Verizon Wirelessに出資するVerizon Communicationsが15日に語ったところでは、大停電後は通常電話の利用が通常の3倍に上昇したという。通常の電話はふだん通り通話できたが、これはシステム全体にわたって予備電源を追加し、個々の電話機へも電源供給も行ったからだった。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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