NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は6月20日、同社が進める企業向けIP電話サービスに関して説明会を開き、今後の戦略について明らかにした。
NTT Comが現在力を入れているのは、従来企業がPBX(構内電話交換機)を利用して構築した企業の内線電話をIP電話化し、通信事業者がアウトソースする「IPセントレックス」と呼ばれるサービス。2002年12月より試験的に提供を始め、今年の4月10日から正式にサービスを開始した。現在までに10社ほどが導入を進めているという。
IPセントレックスの導入によって、企業はPBXの管理コストが減らせるほか、通信料の削減が図れる。遠隔地の支店間を内線通話にすれば通話料は無料になり、国内の固定電話へも全国一律料金でかけられる。実際にIPセントレックスを導入したある総合電機メーカーでは、内線用の専用機を使っていたときに月間3000万円かかっていた費用を1500万円に抑えたという。
NTTコミュニケーションズ ブロードバンドIP事業部マーケティング部長の高瀬哲哉氏 | |
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他社との相互接続は?
NTT Comでは現在、同社の基盤網を利用する@nifty、So-net、BIGLOBEなどのISPやCATVが提供するIP電話サービスとの相互通話ができるように準備を進めているという。高瀬氏によると「現在すでに協議は終わっている」とのことで、設備が整い次第サービスが提供される予定という。
他社の通信事業者との相互接続については「現在話し合いを進めている段階」(高瀬氏)という。事業者によってシステムの規格が異なるほか、加入者から支払われる料金の清算や保守運用をどこが行うかといった問題があるとのことだ。ただしYahoo! BBについては、「向こうから特に何も言ってこない。こちらも特に話をするということはまだない」として、話し合いが行われていないことを明らかにした。
メリットばかりではないIPセントレックス
また、高瀬氏はIPセントレックスを利用する際にいくつかの課題があることを明らかにした。まず、警察や消防署などへの緊急通信はかけられない。また、NTT Comでは現在加入電話からの着信や携帯電話/PHSとの通話はできておらず、「夏までにはサービスを開始する予定」(高瀬氏)とのことだ。さらに停電などに備え、電力のバックアップや緊急用の加入電話も備えておく必要があるという。
音声とデータを1つの回線で送受信するため、帯域のゆとりも重要になる。NTT Comでは1通話につき上下128kbpsの帯域が必要としており、ADSLよりも光ファイバーの利用を勧めているという。複数の通話を同時に行ったり、重いデータをやりとりして帯域が狭まると、音声の遅延が起こるということだ。
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