2010〜2011年の携帯電話各社の冬商戦はスマートフォン一色です。iPhone 3Gの急速な普及はとどまるところを知らず、年末には累計400万以上が稼動していると言われています。
マニア、ビジネスマンときて、今や女子高校生にまで普及し始めているそうです。GAL系雑誌ではアプリの特集なども組まれ、どうやら雪崩を打ってiPhoneへといった憶測もされています。
ソフトバンク以外のキャリアも黙ってはおりません。ドコモはXperiaやGALAXYを、auも11月にISシリーズを満を持して登場させ、iPhone追撃に向けスマートフォン競争が激化し始めました。
スマートフォンの魅力は何と言っても斬新な操作性でしょう。さらに実用的なアプリケーションをカスタマイズできる、いわゆる外側ではなく内側を人とは違う自分好みにできることが新鮮です。
若者にはその外見がスタイリッシュでカッコイイと映るのかもしれません。いずれにしても今までの携帯電話とは異なる新しさが消費者に好感を得ているのではないでしょうか。
では今後スマートフォンは日本のスタンダードになるのでしょうか。現在のスマートフォンブームは、成熟期を迎えた携帯電話端末において、何かを期待させる端末が登場した、と消費者は感じている一方、サプライヤー側では、消費者の嗜好を敏感に察知し、スマートフォンへ社運をかけてシフトした、といった構図でしょう。
しかし、スマートフォンが普及すれば、国内のモバイルビジネスは余儀なく大きく変革することになります。iモード、EZwebといったキャリアプラットフォーム上でビジネスを展開していたコンテンツプロバイダ(CP)は早急にスマートフォンに対応しなければなりません。このことはすでに1兆5206億円規模を形成しているキャリアプラットフォームビジネスの存続にかかわる問題なのです。
まずiPhoneに関しては、垂直統合型のビジネスモデルを組んでいるので、CPとして参入しやすいようにみえますが、そもそもアプリを開発するディベロッパーとの関係性しかなく、コンテンツをサービスとして考え連携していく発想が見受けられないといわれています。またビジネスモデルも異なることから簡単な移行にはならないといわれています。
他方、Android陣営は、オープンであるがゆえにモバイルコンテンツ市場を構築するための十分なプラットフォーム機能、レギュレーションがこれからという状況にあると言われています。
そこで、各キャリアが構築するプラットフォームが登場してきています。キャリアが独自でハンドリングできるプラットフォームの構築は、例えるなら第2のiモードになるためウェルカムだと思います。すでに「ドコモマーケット」、「au one Market」が展開されています。
iPhoneを抱えるソフトバンクにしてもAndroid端末に積極的であり、独自のプラットフォーム構築、「SoftBankピックアップ」がサービス開始となりました。これによってiPhoneとAndroidの日本での構図も微妙に変化していくものと思われます。
このように、フィーチャーフォンとスマートフォンの構図がクローズアップされていますが、水面下では次のフェーズに向けた取組みがなされていると思われます。
それは、フィーチャーフォンとスマートフォンの融合です。キャリア&端末メーカーは、また日本風にアレンジしたニューデバイスを開発しているかもしれません。その時こそ、LTE(次世代携帯電話3.9G規格)時代のニューデバイスは、ワールドワイドに向けて市場開拓できるのかが注目されます。
◇ライタプロフィール
戸口功一(とぐち こういち)
1992年(株)メディア開発綜研の前身、菊地事務所(メディア開発・綜研)にてスタッフとして参加。2000年法人化で主任研究員、2005年より現職。1992年電通総研「情報メディア白書」の編集に参加。現在も執筆編集に携わる。その他、インプレス「ケータイ白書」、「ネット広告白書」、新映像産業推進センター(現デジタルコンテンツ協会)「新映像産業白書」、「マルチメディア白書」、「デジタルコンテンツ白書」の執筆および経済産業省、総務省の報告書等を多数手掛ける。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」