IDC Japanは9月6日、国内IT市場における主要ベンダーの2009年下半期(7〜12月)製品別売上と戦略について分析した。これによると、世界経済危機の影響を受けた各主要ベンダーの業績が大きく落ち込んでいるという。
今回の分析でIDCは、日本IBM、NEC、富士通、日立製作所、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)、東芝(東芝ソリューションを含む)、デル、日本オラクル、サン・マイクロシステムズ、マイクロソフト、日本ユニシス、SAPジャパンの主要ITベンダー12社について、IT製品を16種類に分類し、2006年上半期から2009年下半期の国内出荷金額を半期ごとにまとめた。その結果、主要ITベンダー12社の2009年下半期出荷金額は、前年同期(2008年下半期)と比べて10%減のマイナス成長となり、業績が大きく落ち込んでいるという。
2009年の出荷金額上位5社は、富士通、NEC、日立製作所、日本IBM、日本HP。5社の2009年IT製品売上合計は5兆6234億円で、前年比マイナス9.5%となった。また、2009年の前年比成長率は、富士通がマイナス6.4%、NECがマイナス11.7%、日立製作所がマイナス9.2%、日本IBMがマイナス10.5%、日本HPがマイナス12.9%と大幅なマイナス成長となっている。上位5社の中で、下落幅が比較的小さかった富士通は、ITアウトソーシングやソフトウェアの売り上げが大きかったのが要因だとIDCは説明している。
IDCは、ITを取り巻く環境や市場が大きく変わろうとしているとした上で、新世代のITは社会インフラが核となり、その市場はITベンダーと電力、交通、自治体など異業種同士の共同事業で構築されるだろうと分析している。また、スマートグリッド、電気自動車の充電設備システムを用いた交通基盤、省エネルギーの電機製品を備えたビルや家庭などを統合的に結び付けた効率的で持続性を持つ都市(スマートシティ)において、ITが制御および管理の役割を担うと予測。主要ITベンダーは、いずれもスマートシティおよびスマートグリッドに取り組んでおり、日本政府が主導するスマートシティ事業の実証実験が始まるなど、その新事業向けに新しい製品や仕様が次々に生まれているとしている。
IDC Japan ITスペンディング シニアマーケットアナリストの福田馨氏は、「ITベンダーは実証実験の成果として、新製品やインターフェースなどに関わるグローバルスタンダードを早期に確立し、国内外のスマートシティ事業の受注に結び付けることが重要となる」とコメントしている。
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