ポルノサイトが間もなく、「.xxx」アドレスを持てるようになるかもしれない。ICANNがようやく、この新たなドメイン名の承認に向けて動き出したためだ。
ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は長年にわたり、.xxxをトップレベルドメイン(TLD)に加えるよう求める提案を何度も拒否してきたが、米国時間6月25日、ついに態度を軟化させ、この新ドメインを条件付きで承認した。
.xxxドメインの管理とポルノサイトへの販売を手がけることになるICM Registryは、.xxxをTLDとしてICANNに承認してもらえるよう長らく努力してきたが、その度に拒否される結果に終わっていた。ICMの会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるStuart Lawley氏は、アダルトエンターテインメントサイトを隔離し、フィルタリングにより安全に遮断する方法として、.xxxドメインを一貫して積極的にアピールしてきた。だが、これまでは保守派の団体が米政府に対するロビー活動を行い、伝えられるところでは、こうした要求を拒否するようICANNに圧力をかけてきたという。
だがAssociated Press(AP)によると、ICANNは、.xxxの承認を拒否することは「中立かつ客観的、および公正な既定方針の適用と一貫性がない」と認めたうえで、この提案を再度検討することに同意したという。
Lawley氏はICMのウェブサイトで、ICANNの決定について「ここまで長い道のりだったが、.xxxが間もなく現実のものになるという事実に興奮している。これは素晴らしいニュースだ」と述べている。さらに同氏は今回の決定について、オンラインのアダルトエンターテインメント専用のウェブアドレスを作るという6年に及ぶ取り組みが実を結んだものであり、この決定に先立って、ICANNの紛争解決プロセスである独立審査パネルが、.xxxを拒否するというICANNのこれまでの判断は誤ったものだということを明言したとも語っている。
ICMは勝利を宣言しているものの、ICANNによる新ドメインの最終的かつ正式な承認は、厳密にはまだ成立したとは言えず、形式的な手続きが足かせとなって新ドメインの運用開始が遅れる可能性もある。
ICMのLawley氏は米CNET Newsに寄せた電子メールの中で、ICANNが25日、新たなレジストリを運用するために必要な財務的および技術的能力についてICMを調査することに同意したと述べた。ただしこれは、簡単な手続きになるとLawley氏は説明している。同氏によれば、次のステップは、公共政策の問題についてICANNに助言をする政府諮問委員会(GAC)からの提言を考慮した契約を取り決めることだという。その後、この件は最終的な承認のためICANNの理事会に送られる。Lawley氏は、ICANNが10月に開催される次の理事会で最終契約書に署名し、2011年初めには.xxxドメインを運用する準備がすべて整うことを期待していると述べた。
ICMによれば、新アドレスの採用を予定しているサイトからすでに11万件の先行予約が入っているという。ICANNの正式承認が下れば、この数字はさらに増えるだろうとICMは予測している。
最終的な承認を受ければ、.xxxドメイン名は、「.com」「.net.」「.org.」「.edu」などと同様のTLDとして扱われる。.xxxドメインは使用したいアダルトサイトだけが使用すればよく、これを使うかどうかはまったく任意だ。
APによれば、Lawley氏は、.xxxサイト1件あたり60ドルで販売することにより年間3000万ドルの売上を見込んでいるが、同氏が設立した非営利団体を通じて、売上1件につき10ドルを児童保護プログラムに寄付することを約束しているという。
Lawley氏はまた、.xxxドメイン名を持つアダルトサイトが従うべき標準行動規約を確立させたいと考えている。この規約では、不正な販売活動、マルウェアの使用、児童を誘惑したり児童ポルノを連想させたりするような行為、および個人情報の悪用といった問題に対処する。Lawley氏は、新ドメインと新たな慣行により、ポルノサイトに寄せられる苦情を減らし、より多くの顧客をつなぎ止めることができると考えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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