携帯電話ネットワークを国際的に展開するVodafoneが、各国政府によって実施されている自社の顧客に対する監視の一端を明らかにした。
同社は事業を展開している29カ国についてのレポートを公表した。同レポートでは、顧客の通信にまつわるデータに対するさまざまな政府機関からのアクセス要求について詳細に記されている。
この種のデータに対する法執行機関や情報機関からのアクセス要求は目新しい話ではない。しかしVodafoneによると、通信技術の進歩と、その成果を活用したいという政府の希望によって、プライバシーに関する市民の権利と、国民の安全と国家の安全保障を維持するという政府のニーズとの間に摩擦が生じているという。情報機関による大規模な盗聴やデータの恒常的な収集に関する懸念が高まった結果、そうした監視活動の規模や合法性についての議論が巻き起こっている。
Vodafoneはほとんどの地域において、合法的な通信傍受に用いられるシステムの統制権を維持しているものの、同社が事業を展開している少数の国(国名は挙げられていない)では、同社を完全に迂回するかたちで、当局が同社のネットワークに直接アクセスできるようになっているという。
その結果、これらの国々では、政府当局が盗聴のために令状を取得しなくても直接、すべての顧客の通信に対して完全な、そして恒久的なアクセスが可能になっているという。
同レポートでは、こういったアクティビティのうち、法執行機関からの要求として大半を占める2つのカテゴリに焦点を当てている。それらは合法的な盗聴と、通信データへのアクセスだ。
同社は、その他のカテゴリに属する要求、すなわち非合法な要求に応えることは断固拒否すると述べている。また同社は、拒否する理由は主に、法的な手続きや書類の不備、そして法的権限の不適切な行使だとも述べている。
しかし同社は、そのような要求への対応が自社にとって困難になることがあるともしており、「問題の権力はしばしば、極めて不安定で争いが起きやすい展開の中で用いられる。例を挙げると、大規模な市民暴動や、選挙期間中だ。これは、問題の国で当局との窓口となっているVodafoneの社員らが、完全には合法と言えないという理由で要求を拒否すれば、危険にさらされるおそれがあるということを意味している」と記している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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