今回はテクノロジ系のニュースをもっと楽しむための話を一つ。あまり役に立たない雑学の類かもしれないが、それでも日頃から見聞きするニュースがより新鮮みを帯びてくるような話だ。
テクノロジ分野の企業経営をめぐるニュースで、何年も前からヘッジファンドを指揮するマネージャーの名前を見かけることが多くなってきた。具体的にいつから多くなったかは定かでないのだが、それでもYahoo!をめぐってMicrosoftとGoogleが争った時に、物言う株主の代表格としてCarl Icahn氏の名前が登場していたことを覚えている読者も多いだろう。
そのIcahn氏を筆頭に、昨今世間を騒がせている大物連中が揃って登場した特集記事がVanity Fairに掲載された。
The Big Short War - Bill Ackman, Dan Loeb, Carl Icahn, and Herbalife
「Bill Ackman、Dan Loeb、Carl Icahnらが、マルチレベル・マーケティング(MLM:いわゆるネットワークビジネス)大手Harbalifeの株式をめぐって大勝負の真っ最中」といった感じの記事で、日頃から株式関連のニュースを目にしている方ならよくご存知かもしれない。一方、そういった世界にあまり縁のない私にとっては、このVanity Fairの特集がとても勉強になった。
記事に登場してくる主だった顔ぶれを先に列記しておくと——
Bill Ackman氏
ヘッジファンドのPershing Square Capital Managementの創業者で最高経営責任者(CEO)。米百貨店チェーンのJC Pennyの再建に、AppleからRon Johnson氏を引き抜いてCEOに抜擢した(関連記事:アップル流で老舗デパートの体験を変革できるのか)。
2011年はじめに倒産した大手書店チェーンのBordersへの投資では1億ドルを超える損を出し、JC Pennyについても雲行きが怪しくなっている。
Daniel Loeb氏
ヘッジファンドのThird Point LLCの創業者 兼 CEO。もめにもめたYahoo!のCEO人事をめぐる騒動で主役を務め、Marissa MayerのCEO就任を後押しした人物。
David Einhorn氏
ヘッジファンド Greenlight Capitalの創業者 兼 社長。2013年に入ってAppleに対し「特殊な優先株の発行を通じた配当金増額」(株主への利益還元)を要求したことなどで注目を集めた人物。
Carl Ichan氏
物言う株主の筆頭のような大ベテラン投資家。2011年にMotorolaに圧力をかけ、同社の分社化ならびにGoogleへの売却に成功したり、現在進行中のDellの上場廃止(非公開化)でも反対の意向を表明するなど、今なお現役で活躍している。
さて、最初にBloomberg TVで1月下旬に放映された映像を見て頂きたい。この電話インタビューの中で、Icahn氏は公然とこう言い放った。
画面下に出てくるテロップにも「オレはAckmanが好きじゃない、世間もそのことは知っている」(Ichan: I don't like Ackman, that's not a secret)と表示される。
いくら計算尽くのトラッシュトークとは言え、これだけはっきりと視聴者の前で誰かを罵倒するという、まずそのこと自体に驚いてしまう。
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