ソニーは5月10日、2012年3月期の通期連結業績を発表した。売上高は先進国における市場環境の悪化などから前年度比9.6%減の6兆4932億円となったほか、営業利益は673億円、税引前利益は832億円、当期純利益は4567億円のそれぞれ赤字となった。
同社では当期純利益が5200億円の赤字になると4月に連結業績見通しの下方修正を発表したが、赤字幅は633億円縮小された。執行役EVP CFOの加藤優氏は「300億円はオペレーションからくる改善、残りは税金費用が見積もりと実績で差が出たため」と説明した。
セグメント別では、液晶テレビ、デジタルカメラなどのコンシューマ製品を持つ、コンスーマープロダクツ&サービス(CPS)分野が2298億円、プロフェッショナル・デバイス&ソリューション(PDS)分野が202億円とそれぞれ赤字となった。
「数を追う戦略から転換する」とした液晶テレビ事業に関しては、2011年11月に発表した収益改善プランが「想定以上に進んでいる」とのこと。「サムスン電子との液晶合弁会社S-LCDの合弁を解消した効果も出てきている。パネルに関しても、市場の価格に合わせて調達できるので、このあたりの効果は具体的に出ている」と話す。
2013年3月期の連結業績予想については、東日本大震災やタイの洪水の影響から回復が見込まれるとし、CPS、PDS分野ともに損益改善を目指すとのこと。売上高は前年比14%増の7兆4000億円、営業利益は1800億円、税引き前利益は1900億円、当期純利益は300億円を見込む。
完全子会社化されたソニーモバイルコミュニケーションズについてはスマートフォンに注力し、2012年度の売上台数は3330万台の見通し。「100%子会社化したことで、ジョイントベンチャーでは取りにくかった施策も思い切り打てる。ソニーの技術をハードにつぎ込み、ネットワークサービスを絡めながら拡大基調に乗せていきたい」と期待を寄せる。加藤氏は「2012年度はエレキの黒字化、最終損益の黒字化、キャッシュフローの黒字化と3つの黒字化を目指す」とした。
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