国内初の広告サービス「パフォーマンスアド」--コンテンツ連動とアフィの利点を融合

鳴海淳義 (編集部)2011年06月01日 14時08分

 NHN Japanグループでインターネット広告事業を展開するジェイ・リスティングは6月1日、成果報酬型アドネットワーク広告「パフォーマンスアド」を開発し、テスト配信を開始したことを発表した。

 パフォーマンスアドは、コンテンツ連動型広告とアフィリエイト広告を組み合わせた広告商品。コンテンツ連動型広告のようにさまざまなサイトのコンテンツページに広告を配信しながら、クリック課金ではなく、アフィリエイト広告のような成果報酬型とした。

 さらに初期費用、月額費用、コミッション不要の完全成果報酬型となっているため、広告主は費用負担や煩雑な手続きなどの出稿リスクをとらずに広告を配信できる。

 広告配信技術は、行動ターゲティングやコンテンツ連動といった複数の広告配信手法を組み合わせたマッチングを行い、ジェイ・リスティングが福島県に持つ広告配信技術開発に特化した部門「JLISTING Ad Technology Lab.」の技術をベースに、NHN Japanグループの技術やユーザーデータ、ノウハウの支援を受け、開発された。

 コンテンツ連動型広告では、グーグルの「コンテンツマッチ」やヤフーの「インタレストマッチ」などが先行し、多くの企業に利用されている。ジェイ・リスティングが5月に発表した調査データによれば、クリック保証型による配信形式のため小額から出稿でき、なおかつ広範な潜在顧客に対して配信することができる点が評価のポイントだった。

 ただし、過半数の広告主がコンテンツ連動型広告の利用に満足している一方、費用対効果に不満を持っているという結果も出ている。クリック数が多くても成約されないと、課金だけが積み重なってしまい、結果的に広告の費用対効果は下がることになる。

 また、コンテンツ連動型広告を掲載しているメディアはクリック数さえ多ければ儲かるが、広告主はあくまでクリックされた後に成約がなければビジネスにならない。広告主にとっては費用対効果を下げる要因になる「無駄クリック」が、メディアにとっては収益源になってしまう。ここに両者の利害が一致していないという問題も発生する。

 こうした課題はアフィリエイト広告を使えばカバーできる。ところがそのアフィリエイト広告にも欠点はある。一般的に、初期費用、月額費用、コミッションなどの成果課金額以外の費用が発生することに加え、運用手続きが必要になるなど、広告主にとっては参入障壁がやや高い。

 パフォーマンスアドはコンテンツ連動型広告とアフィリエイト広告の良いところを組み合わせ、それぞれの問題点を解決した広告モデルといえる。クリックではなく、成約によって課金するため、費用対効果は下がらない。また初期費用などをかけずに広告出稿を始められるのも利点だ。パフォーマンスアドと相性のいい広告主は、ECサイトやクレジットカードや保険などの会員獲得系事業だ。成果を重視する事業が向いている。

ジェイ・リスティング代表取締役の窪島剣璽氏ジェイ・リスティング代表取締役の窪島剣璽氏

 ジェイ・リスティング代表取締役の窪島剣璽氏は、「不況になると広告主は成果を求める。パフォーマンスアドはそこにダイレクトに応える。既存のクリック課金型広告の事業者は成果報酬型広告事業になかなか参入しずらい。我々はもっと広告主に優しくという観点で、成果報酬型広告事業に参入した。代理店や広告主からもまずは良い反応をもらっている」と語る。

 ただしメディア側には、クリック課金型広告を成果報酬型広告に切り替えると収益が下がるのではという懸念があるかもしれない。これまでのようにただクリックされるだけではなく、商品購入や問い合わせといった何らかのコンバージョンをもって、広告料金が支払われるからだ。

 そこでジェイ・リスティングは一部の代理店と広告主に限定し、パフォーマンスアドのテストマーケティングを実施する。現在オプト、サイバーエージェント、GMO NIKKOなどの広告代理店10社、オイシックス、グルーポン・ジャパンなどの広告主300社の参加を見込んでいる。

 パフォーマンスアドの配信先は、NHN Japanグループが運営する「ハンゲーム」「NAVERまとめ」「livedoor Blog」の3媒体を当初予定している。今後は段階的に配信対象サービスの拡大や掲載パートナーサイトの獲得、またスマートフォンブラウザページ、スマートフォンアプリへの展開を計画している。

ネイバージャパン事業戦略室 室長の舛田淳氏ネイバージャパン事業戦略室 室長の舛田淳氏

 NHN Japanグループのネイバージャパンで事業戦略室長を務める舛田淳氏は、「ライブドアはこれまで順調に広告収益を上げてきたが、ハンゲームやNAVERはまだ活かしきれていない。グループとして効果的な広告に取り組む必要があった。その第1弾がパフォーマンスアド。各メディアの収益をプラスにするのが前提だが、今後はグループ媒体の掲載広告がパフォーマンスアドに置き換わることが理想」と話す。

 NHN Japanグループの各媒体がパフォーマンスアドで収益を上げられることが実証されれば、ほかのメディアでも同様の可能性が見えてくる。いずれはオンラインでパフォーマンスアドの掲載受付を開始し、個人ブログなどにも掲載面を広げていきたいとしている。

 ジェイ・リスティングは今冬をめどにパフォーマンスアドの正式サービスを開始する予定。将来的にはコンテンツ連動型広告、アフィリエイト広告を合わせた市場規模の30%、300億円の市場を創出することを目指す。

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