一般社団法人ブロードバンド推進協議会(BBA)主催によるゲームカンファレンス「OGC 2011」が5月31日、東京・ベルサール秋葉原にて開催された。
会場ではベンチャー企業や大手ゲームデベロッパーによるセッションが繰り広げられたほか、慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特別招聘教授の夏野剛氏が基調講演を行った。ここではその基調講演の様子を紹介する。
夏野氏はまず、ガラパゴスケータイ(ガラケー)からスマートフォン(スマホ)で大きく変わったケータイ業界の進化を語る。
これまでは、携帯電話キャリアが電話機の新しい仕様と、それをサポートするネットワーク機能をプレゼンしていたが、今は端末メーカーが機能の差別化を図り、それをキャリアが発表するようになっている。これはネット接続機能など、端末の進化だけではサポートできない機能があったので、キャリアが垂直統合型のサービスを提供するようになったのが理由だという。
また海外では、端末メーカーが独自にネットワーク機能をつけられない状況だったが、AppleとGoogleがそこを縫うように出てきたとも話す。AppleのiPhone、GoogleのAndroidが登場したことにより、電話番号同士による「SMS」でしかメールできなかった状態から一転、Eメールの使用やネットの閲覧などが可能となり、スマホブームが巻き起こったのだ。
しかし、スマホにも機能的に不足している部分があると言及。例えば電話帳に関しては「500件も入れると地獄のようだ」と使いづらさを述べた。そのほか、フルブラウザによるネット閲覧が可能でも、PC向けサイトを閲覧するとM(メガ)バイト単位のデータをダウンロードすることになるため、3G回線ではページが表示されるのに時間がかかることも問題に挙げた。
電車の乗り換え案内を見るなら断然ガラケーのほうが向いているようで、「スマホだと調べているうちに電車が来てしまう」と冗談めかして話していた。とはいえ、3G回線の速度に対してそれほど不満を抱いているわけではないようだった。
むしろスマホではWi-Fiの使用を前提にしているとし、3G回線は「どこでも使えることがメリットではないか」と有用性を説く。そのため、これからはネットワーク効率は軽視の方向になるのではないかと話していた。
今後の方向性に関しては、ガラケーとスマホが機能的に統合されるだけでなく、「モバイルとPCがどんどん融合し、主役がアプリからブラウザへ移っていくだろう」とも述べた。これにはブラウザを提供する各社がHTML5の対応を進めていることも考慮されており、HTML5が普及すればブラウザ機能が充実するためだとしている。
さらに市場動向については、スマホによってモバイル市場がネットに統合されると予想した。市場統合によるユーザーの増加と相まってインターネットの進化が加速していくため、“今のままでは”日本のケータイメーカーは2020年まで生き残れないという。
その理由として、日本の企業は経営者がいろんなことを考えなくてはいけないため、海外と比べると産業メーカーの意思決定が遅いことを挙げている。最後には「アンブレラ経営では生き残れないことに気づけるかが重要だが、きっとやってくれる」と期待を込め、講演を締めくくった。
「OGC 2011」公式サイト
http://www.bba.or.jp/ogc/2011/
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