UPDATE ソーシャルネットワーキングの領域において、FacebookとGoogleの間でいまさら仲たがいを気にかける必要性は残っていない。Googleをライバルと見なすFacebookが、競争相手への反感をさらに広めようとしていたことが明らかになった。
大手PR会社のBurson-Marstellerは米国時間5月12日午前、この事実を最初に報じたUSA Todayが「ささやきキャンペーン」と呼ぶ案件でFacebookに雇われたことを、米CNETに対していくぶん浮かない調子で認めた。このキャンペーンは、Googleがユーザーのプライバシーを侵害するのではないかという不安をかき立てることを狙っている。
USA Todayは5月10日、主要な報道機関にGoogleの「Social Circle」機能をめぐるプライバシーや法律上の潜在的な問題を取り上げさせるため、ある企業がBurson-Marstellerに仕事を依頼したと、その時点では名前を伏せて報道した。
Social Circleを使うと、「Google Chat」や「Google Contacts」で結びついている人について、公に入手可能な情報を見ることができる。この情報には、Facebookのアカウント、Twitterのフィード、個人サイトへのリンクなどが含まれる。Social Circleではさらに、セカンダリ接続と呼ばれる「友達の友達」の情報を利用できる。
GoogleとFacebookは2010年秋、共有を許可するユーザーデータの範囲をめぐって激しい攻防を繰り広げた。例えば、FacebookユーザーはGmailの連絡先情報を自動で取り込めるか、Googleの検索エンジンはFacebookのデータをインデックス化できるか、といったことだ。
Burson-Marstellerが少なくとも1人のブロガーに対して行った最近の働きかけには、例えば次のような文言が含まれていた。「Googleがいつ何時でも、許可を受けることなく人々の私生活に直接入り込んで、情報を集め、広めていることを、米国国民は知らされなければならない」
そして11日夜、The Daily BeastのDan Lyons氏が、実はこのキャンペーンの背後にFacebookがいたことを明らかにし、ユーザーのプライバシーに関する懸念を名目に同社がBurson-Marstellerに協力を求めたことを、Facebookの広報担当者が認めたと報じた。Lyons氏によるとFacebookの広報担当者は、Googleが自社の利益のために「Facebookのデータを利用」しようと試みているという懸念も指摘したという。
Burson-Marstellerとしては、もうそれくらいで十分、というところだった。
Burson-Marstellerの広報担当者は米CNETに対し、「すでにFacebookが認めているので、われわれはこのクライアントの仕事を請け負ったことを明らかにできる」と語った。
この広報担当者によると、「公に利用可能な情報を浮かび上がらせることを依頼しているだけで、後はどのメディアであっても自由にそうした情報を容易に複製できることから、クライアントは自らの社名を伏せておくよう求めてきた」という。
Burson-Marstellerはいま、自らのダメージコントロールに努めている。
「理由がなんであれ、これは標準的な手続きとはまったく違っており、当社の方針に反している。このような条件での仕事は断るべきだった」と、Burson-Marstellerの広報担当者は米CNETにあてた電子メールに書いている。「メディアに話をする場合、われわれはクライアントに関する透明性の厳しい基準を忠実に守る必要がある。今回の出来事は、この原則が絶対的に重要なものだということをはっきりと示している」
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