NHN Japanがライブドア買収で表明した「5つの約束」

鳴海淳義(編集部)2010年04月13日 16時58分

 NHN Japanが63億500万円でライブドアを買収する。NHN Japan子会社のネイバージャパンが運営する検索サービス「NAVER」に、ライブドアのポータルサイトやブログなどのコンテンツを組み合わせ、「日本最良のインターネット企業」を目指すという。

 きっかけは2009年末、ライブドア親会社のLDHがNHN Japanに売却を提案したことだった。NHN Japan社内にプロジェクトチームを設置し、検討したところ、両社の事業にシナジーが見込めることから、オークションに参加。LDHと協議を進め、4月12日に契約を締結した。株式譲渡は5月10日に実施される予定。

 ライブドアはポータルサイト「livedoor」やブログサービス「livedoor Blog」などのメディア事業と、データセンター「DATAHOTEL」などのインフラ事業を持つ。livedoorのページビューは月間約23億PV、ユニークユーザー数は月間約3000万人にのぼる。livedeoor Blogの開設数は約350万件で国内最大級の規模だという。

 NHN Japanはこれらの資産をNAVERと連携させ、相乗効果を生み出すことを狙っている。さらにNAVERの検索技術をライブドア側に提供する可能性もある。

 とはいえ、NHN Japanが一方的にライブドアとの連携方法を決定することはないという。4月12日に開かれたNHN Japanとライブドアの共同会見では、NHN Japan代表取締役社長の森川亮氏が「5つの約束」を表明した。それは以下のようなものだ。

  1. ライブドアの社名、ブランド、サービス、組織は継続する。
  2. ライブドア事業は現在の運営ポリシーに沿って運営する。
  3. ライブドアの現常勤取締役は留任する。
  4. ライブドアの従業員はそのまま雇用を継続する。
  5. ライブドアの成長を支援する。

 NHN Japanは買収後もライブドアの経営面における独立性、現サービスの継続性を保ち、また同社の社名、ブランド名、役員、従業員の雇用も維持する方針。ライブドアにはNHN Japanグループから非常勤役員として、森川氏を含め3名程度が就任する予定だ。

 ライブドアの成長支援について森川氏は、「(ライブドアは)この3年間、着実にサービス運営してきた一方、新規サービス、事業の開発に十分な投資をする機会が少なかった」とした上で、「3年後には主力事業のブログサービスと並ぶような新規サービスを生み出していけるよう資金、技術、人材など総合的にグループ全体でバックアップする」と明言した。

 今回の共同会見の目的は、両社の今後の連携内容を発表することよりも、買収される側のライブドア社員、顧客への説明という意味合いが大きい。LDHによるライブドア売却については事前に報道が流れてしまったため、社員や顧客から不安の声もあったという。そういった事情から契約を締結した日に両社トップの会見に踏み切った。

 株式取得の会見はUstreamやTwitterで実況した。NHN Japan側から、ユーザーや従業員に1秒でも早く買収の基本スタンスを伝えるためとして、ライブドアにUstreamでの生中継を打診した。これに対し、ライブドア代表取締役社長の出澤剛氏が即決。森川氏はこの点でも、「両社の『スピード感』『徹底的なユーザー視点』『今までの慣習にとらわれない柔軟性』というコーポレートカルチャーの類似点を感じた」という。なお、会見の模様はUstreamで見られる。

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