話題の燃料電池「Bloom Box」、課題は信頼性とコスト

文:Brooke Crothers(Special to CNET News) 翻訳校正:矢倉美登里、長谷睦2010年02月25日 11時49分

UPDATE 新興企業のBloom Energyが米国時間2月24日に開催した燃料電池「Bloom Box」の発表イベントは、各界の著名人が多数参加し、良い雰囲気に満ちていた。だが、同社は今、信頼できる低価格の製品を供給するという現実的な課題に直面している。

 カリフォルニア州サニーベールに本拠を置くBloom Energyは、24日午前にメディア向けイベントを開き、同社の燃料電池製品、Bloom Boxの詳細を明らかにした。この製品は複数の燃料電池セルをレンガ大のスタックにまとめて使うよう設計されており、冷蔵庫とほぼ同じサイズのユニットに収められる。24日のイベントには、カリフォルニア州知事のArnold Schwarzenegger氏や元国務長官のColin Powell氏、伝説的なベンチャーキャピタリストのJohn Doerr氏、Googleの創設者の1人であるLarry Page氏、さらにはeBay、Wal-Mart、Federal Expressといった大企業の幹部などの著名人が出席した。

 Bloom Boxは、内部で酸素と燃料が結びついて化学反応を起こし、発電する仕組みだ。小さなスペースでかなりの電力を供給し、従来型の送電網に依存している現状を変える製品とうたわれている。家庭向けの価格は1基3000ドルを切る予定で、既にGoogleやeBay、Wal-Martなどの企業で導入されている。

 Bloom Energyの最高経営責任者(CEO)、K.R.Sridhar氏が24日のイベントで示した展望の中から最も基本的なものを1つ挙げるなら、出力25Wの燃料電池セルを基本ユニットとし、1kWの「家庭用」ソリューションから、数百kWレベルの電力を企業や地域社会に供給するシステムに規模を拡大できる、という構想になるだろう。

 根本的な課題の1つは、この製品に使われているセラミックタイルの信頼性を確保することだ。

 「(タイルは)非常に薄く、稼働可能な温度の範囲も広い。大きな問題は、熱応力(温度変化が原因となって物体内部に起きる歪力)だ」と指摘するのは、スタンフォード大学が母体となったモバイル機器向け燃料電池会社Ardica Technologiesの創設者の1人、Tobin Fisher氏だ。「さまざまな材質からなるそれぞれの構成部品は、熱せられると異なる比率で膨張する。時間とともに、部品に亀裂が生じる恐れがある」とFisher氏は語った。

 Fisher氏によると、一般的に言って、Bloom Boxのようなシステムは、稼働していない時に「ガス欠」と呼ばれる現象を起こし、温度が急上昇して効率が悪くなる場合があるという。

 Fisher氏は、Bloom Energyのような企業は、長期にわたって技術の負荷テストを行い、問題点を洗い出して修正するべきだと考えている。Bloom Energyは、2001年に創設され、それから約8年かけて、厳選された企業にごく限られた数のシステムを供給できるところまでこぎつけた。

 Bloom Energyが明らかにした構想は以下の通りだ。

  • 燃料電池1セル(タイル1枚):25W=白熱電球1個分
  • タイル1スタック:1kW=1世帯分
  • モジュール1基:25kW=小規模企業1社分
  • システム1台:100kW=大企業1社分

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