ソニーは2月4日、2010年3月期第3四半期(2009年10月〜12月)の連結決算を発表した。営業損失180億円となった前年同期に比べ、1461億円の黒字を確保した。
売上高は前年同期比3.9%増の2兆2379億円、税引前利益は同86.4%増の1239億円、四半期純利益は同660.6%増の792億円となった。液晶テレビ「BRAVIA」が黒字化したほか、その他分野を除く全分野で損益を大幅に改善した。
コンスーマープロダクツ&デバイス部門では、売上高10.7%減の9698億円、営業損益は198億円の赤字から494億円に黒字化し、減収増益となった。液晶テレビが中国、日本などアジアを中心に540万台を売り上げたほか、デジタルカメラ「Cyber-shot」の販売台数が増加した。
一方、PSP「プレイステーション・ポータブル」や「PS3」などのゲーム機、PC「VAIO」などを有するネットワークプロダクツ&サービス部門は、売上高が同1.9%増の6061億円、営業損益は同59億円の赤字から194億円の黒字となった。主にVAIOの売り上げが増加したことが要因で、ソニーの広報センター長の神戸司郎氏は「Windows 7の導入による販売台数増と高付加価値モデルの販売が好調だったことが損益改善に結びついた」と説明した。
ゲーム機では、新型を投入したPS3の販売台数が前年同期450万台から650万台に増加したものの、PSPは同510万台に対し、420万台に留まった。代表執行役副社長 CFOの大根田伸行氏は「PSPは、上半期の未達分を年末で取り戻したかった。これを受け通期の販売台数見込みを下方修正する」とした。
このほか映画部門では、「2012」「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」などの劇場興行が好調であったことから、売上高は前年同期比16%増の2032億円、営業利益は同9.1%増の141億円、音楽部門においても、話題性の高かった、スーザン・ボイル「I Dreamed A Dream/夢やぶれて」などがヒットし、売上高2.0%増の1635億円、営業利益8.2%増の231億円で、いずれも増収増益となった。
このほか、好調な商材として挙げられたe-Bookリーダーは「おそらく2010年はグローバルで見て400〜500万台のマーケットになると見ている。これをシェアしているのはAmazonの『Kindle』とソニーではないか。ソニーとしても2010年は100万台を超える台数を狙っていく」(大根田氏)と市場を予測した。
また、アップルの「iPad」に対して質問が及ぶと「電子書籍という専用機能を持ったKindle、その反対に位置するにネットPC的な商品があり、それよりも小さいサイズで多機能化したものがスマートフォンだと思う。iPadはそれらの中間の領域にあるもの。この領域はこれから伸びていく市場で、多くのコンペティターの競合領域になると思う。電子ブック、ネットPCなどへの影響はあると思うが、それ以上に新しいマーケットを作り出していく影響の方が大きいだろう」(大根田氏)と分析した。
ソニーでは、第3四半期の決算を受け2010年3月期通期の業績予想を上方修正した。売上高は前回予想時の7兆3000億円と据え置いたが、営業損失は同600億円から300億円へ、当期純損失は同700億円から400億円へと赤字幅を縮小させている。
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