アイ・ティ・アール(ITR)は12月10日、「国内IT投資動向調査報告書2010」を発売した。2001年の調査開始以来、国内のIT投資が初のマイナスになったという。
2009年度のIT予算の増減と、2010年度の見通しについての調査回答を指数化した「投資指数」では、2006年度に過去最高の「+3.9」に達した後、数値は年々下降線をたどり、2009年度は初めて「−3.8」にまで落ち込んだ。2010年度の予想値も「−1.0」と引き続き減少する見込みだ。
業種別に2009年度の実績を見ると、製造業のIT予算減額が目立ち、指数は「−6.6」となった。減額をまぬがれたのは金融業(0.0)と官公庁・公共団体(+3.2)のみ。2010年度の予想値では、製造業、流通・小売・商社、サービス業などで指数の改善が見込まれるものの、全業種でマイナス値となっており、依然として厳しい状況が続くと見られる。
IT戦略上で重視するキーワードでは、前年に続き「売上増大への直接的な貢献」がトップであった。ただ、「ITコストの削減」「業務コスト削減」などコスト削減が上位を占めている。2010年度へ向けた注力度指数では「販売支援・営業支援」が最も高く、「財務会計」「顧客管理」「データ分析」が続き、既存のビジネスデータを有効に活用したいという企業の意識が現れている。
CIOの選任状況やIT組織戦略については、回答企業におけるCIO職(専任・兼任含む)の選任率は44%となった。専任のCIOが増加傾向にあり、業種別の選任率に従来ほどの大きな差はなくなってきている。一方、IT部門の正社員数の増減傾向では、スタッフを増員することに消極的な企業が多く、特に製造業では減員予定と回答した企業の数が増員予定とした企業の数を上回った。
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