ソニーは11月19日、4月にスタートした新経営体制の下取り組む、エレクトロニクスとネットワークサービス事業領域において、経営施策を発表した。新ディスプレイの開発やオンラインサービス事業など今後の展開が明らかになった。
今後の成長と収益力強化のため据えたのは、「中核事業(テレビ・ゲーム・デジタルイメージング)の安定的な収益力確保」「革新的なハードウェア、ソフトウェアおよびサービスの統合による新たな顧客体験の提供」「新規顧客および新規市場の開拓」「環境に配慮した商品および事業活動への重点的取り組み」の4点。これらの施策を通じて「2012年度までに営業利益率5%以上を目指す」(代表執行役 会長 兼 社長 CEOのハワード・ストリンガー氏)とした。
中核事業の1つとなるテレビ事業では、液晶テレビ事業の2010年度の黒字化、2012年度の台数ベースにおける全世界のマーケットシェア20%という目標を掲げた。また独自のディスプレイデバイスを採用した、新ディスプレイを開発中であることも明らかにしており、執行役 副社長コンスーマープロダクツ&デバイスグループ担当の吉岡浩氏は「有機ELを含め、いくつかほかのものも進めている」とした。
ゲーム事業においても、2010年度の黒字化を目標に据えた。ハードウェア、ソフトウェアの販売拡大とともに、「PlayStation NetWork」の拡充により売り上げ増を狙う。
年末商戦の売れ行きに関しては、「予想通りに需要が立ち上がっているが、需要に応える自信がある」(執行役 EVP ネットワークプロダクツ&サービスグループ担当の平井一夫氏)と、供給不足への不安を払拭させた。
裏面照射型CMOSセンサ「Exmor R」を商品化し、ビデオカメラ、デジタルカメラで人気商品を生み出したデジタルイメージング事業では、世界ナンバー1ブランドのポジションを堅持するとのこと。イメージセンサや画像処理エンジンなど、キーデバイスによる性能差異化とコスト競争力の強化を打ち出している。
上記3事業ともに、連携する取り組みとして紹介されたのが「ソニーオンラインサービス(仮称)」だ。
これは、Playstation Networkを基盤に、今後はゲーム機向けだけではなく、テレビやBlu-ray Discレコーダー、新モバイル製品などへも、ハードと連携したネットワークサービスを提供していこうというもの。
「Playstation Networkのプラットホームを活用することで、経済的かつスピーディにサービスをスタートできる。ソニーオンラインサービスとつながることにより、個々の商品価値を高め、その商品からユーザーが体験できる世界を広げられる。」(平井氏)という。
また、ネットワークモバイル事業の強化拡大として、12月18日に北米で電子書籍「Reader」を発売することも発表した。平井氏は「Readerが提供する世界こそ、ソニーらしい顧客体験の1つだと考えている。電子書籍は2008年から急拡大している市場。2009年度の全世界出荷台数は300〜400万台が見込まれている。この拡大市場に合わせ、ハードウェアとコンテンツを強化し、2012年には全世界でシェア40%を目指す」と市場拡大への意欲を見せる。
このほか、新たな取り組みとして「有効な成長領域として理解している」(吉岡氏)とするバッテリ市場において、蓄電と言われる業務用バックアップ電源、家庭用太陽電池発電のバックアップ電源への展開を進めているとのこと。さらに、電気自動車用電池への市場参入の意向も明らかにした。
これら取り組みにより、バッテリ事業は今後3年間で売り上げを2倍に伸ばしていくとしている。
すでに2010年度の参入を表明している家庭用3Dテレビに関しては、「ソニーでは、コンテンツ、テレビ、放送機器まで幅広いビジネスで展開する」とし、「2010年は3Dを本格拡大する重要な年になると理解している」(吉岡氏)とした。
ストリンガー氏は「グループ全体で取り組んだBlu-rayが規格競走で勝ったように、3DでもPlayStation Networkでも同様の成功が収められると確信している」と今後の取り組みに対する自信を見せた。
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