米連邦控訴裁判所は米国時間9月11日、Alcatel-Lucentが所有する特許をMicrosoftが侵害したとする下級裁判所の判決を支持した。しかし、同裁判所は陪審が損害賠償額として算出した3億5800万ドルという金額は多すぎるとしている。
ワシントンDCの米連邦巡回控訴裁判所は、争点となっている特許は有効で、それが侵害されたとの判決を支持したものの、損害賠償額の算出方法が妥当であることを示す十分な証拠はないと述べた。損害賠償額の問題は、地方裁判所に差し戻された。
元々はAT&Tのエンジニアが申請書を提出したこの特許は、コンピュータの画面上で、キーボードを使わずにフィールド内に情報を入力する方法を対象としている。Lucentはまず2002年に、特許侵害でコンピュータメーカーのGatewayを訴え、その後、Microsoftとの訴訟に発展した。Dellはこの案件で、第3の被告として名を連ねている。
第一審裁判所は、「Microsoft Outlook」の「date-picker」カレンダーツール、そして、「Microsoft Money」と「Windows Mobile」の同様の機能が、同裁判所が「Day patent」と呼ぶ特許を侵害していると認定した。しかし、同裁判所は損害賠償の問題については、特許を侵害しているツールが幅広い顧客に使用されているという証拠はないと述べ、損害賠償額の算出方法に疑問を呈した。
Alcatel-Lucentは、同社にはMicrosoftの売上高の8%に相当する損害賠償額を受け取る資格があると主張していた。陪審は、Microsoftの売上高の8%、あるいは同機能を搭載したソフトウェア製品群の全体的な市場価値を基にして、損害賠償額を算出したようである、と裁判所は意見を述べた。一方、Microsoftは650万ドルという金額を提案した。控訴裁判所は損害賠償額の算出方法を提案することはしなかったが、陪審が選んだ金額は特許侵害に該当する使用の可能性と釣り合いがとれていないと述べた。
特許を侵害している機能は、大規模なソフトウェアの非常に小さな一部分であり、「特許侵害に該当するdate-pickerツールの使用によって発生した利益の割合は、極めて小さい」と判決には書かれている。
「要するに、Outlookは(何千種類ではないにせよ)何百種類、あるいはもっと多くの機能で構成される非常に複雑なソフトウェアプログラムである。現在の記録を基にして考えると、date-pickerという1つの小さな機能の使用が、Outlookの価値の大きな割合を占めていると結論付けるのは難しい、とわれわれは判断した」と裁判所は述べている。
MicrosoftとAlcatel-Lucentの関係者は、いずれも今回の判決に満足していると述べた。
Microsoftの広報担当者であるKevin Kutz氏は声明で「控訴裁判所が下級裁判所の損害賠償額は無効であると判断したことに、われわれは満足している。そして、われわれは司法プロセスにおける次の段階に進むことを楽しみにしている」と述べた。
一方、Alcatel-Lucentの広報担当氏も声明を発表し「MicrosoftがAlcatel-LucentのDay特許を侵害したこと、そして、Day特許が有効であることを認める下級裁判所の判決を控訴裁判所が支持してくれ、満足である。
「損害額に対する判事の判断を、控訴裁判所が認めなかったことは残念である。Microsoftがわれわれの特許を侵害したという判決に基づき、今後の過程において、賠償金額を確定してゆきたい。Microsoftは顧客に価値を提供できるという認識があるからこそ、われわれの特許技術を問題となっている製品に利用した」(Alcatel-Lucent)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」