拝啓、Eric Schmidt様
そろそろ退任の時が来たようですね。
Googleからの退任のことを言っているのではありません。あなたを激しく批判する人々でさえも、Googleであなたが築き上げた技術的な成果や、輝かしい事業における功績を認めています。しかし、「Chrome OS」というパソコン向け軽量版OSをリリースしようというGoogleの計画を見て、わたしは、あなたのApple取締役という立場には無理があると確信を深めたのです。
Googleの従業員が、GoogleがChrome OSを開発している理由について、「ユーザーからの明確な要望が多く寄せられている。それは、コンピュータをより良いものにして欲しいということだ」と書いています。その一方でAppleは自らの使命について、いつもこう述べています。「AppleはApple IIで1970年代のパーソナルコンピュータ革命に火をつけ、80年代にはMacintoshによって、再び、全く新しいパーソナルコンピュータを創出しました。数々の賞に輝く革新的なコンピュータ、Mac OS Xオペレーティングシステム、iLifeデジタルライフスタイル・アプリケーション、そしてプロ向けの各種アプリケーションで業界をリードし続けています」と。
前々から分かっていたことですが、このたび、ある事実がさらに気になり始めました。あなたが競合する2社を監督する立場にあるということです。2年後には互いに相手を出し抜こうとする立場にある2社に対し、それぞれの企業にとって最良となるように導いていくつもりだなどとあなたは本気で主張するつもりでしょうか?
この議論が持ち上がるのは今回が初めてではありません。
Googleが、消費者および開発者向けにAppleの「iPhone OS」と競合するスマートフォンOS「Android」開発の計画を発表したとき、あなたはApple取締役会の会合中にiPhoneに関する議論に加わるのは控えると言いました。あなたが両社の取締役に名を連ねていることを問題視する報告書が米連邦取引委員会(FTC)から提出された後の2009年5月には、その姿勢を再度表明し、Appleの会合でその他にも発言を控えている話題が存在するかと尋ねられたときには、「記憶の限りでは存在しない」と答えていました。
あなたは、Mac OS Xの開発が議論されるあらゆる取締役会の会合において、発言を控えるつもりですか?あなたはApple取締役会の3つの主要な委員会である「監査、財務委員会」「報酬委員会」「指名、企業統治委員会」のメンバーではありません。結局、あなたが監督する資格のあるApple製品は「iPod」だけということなのでしょうか?
あなたが両社の経営に関わっていることについて、そして、「Chrome OS」の発表によってこれがどう変わる可能性について、GoogleとAppleの両社にコメントを求めましたが、回答はもらえませんでした。でも、もうたくさんです。
すでにお気づきと思いますが、あなたの振る舞いについて、政府機関にいっそう詳しく調査されるということは避けるべきです。Appleの取締役から頼まれなくても、自ら退任してください。そうすることでGoogleとAppleの両社が利害の衝突から免れ、それぞれが引き続き目覚しい製品やサービスを開発してゆけるのだと思っています。
敬具
CNET News記者 Tom Krazit
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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