ロンドン五輪、「持続可能性」の実現に向けITインフラを合理化へ

文:Nick Heath(Silicon.com) 翻訳校正:編集部2008年11月28日 13時16分

 2012年に開催されるロンドン五輪、パラリンピックでは、「持続可能性」の実現に向けた取り組みの一環として、大会のITバックボーンがスリム化される予定となっている。

 ロンドン五輪でチーフインテグレーターを務めるMichele Hyron氏によると、機器やエネルギー消費の余剰を最小化するために、コンピューティングインフラ各部の合理化を図るという。

 情報技術サービス会社Atos Originの社員であるHyron氏は、複数のIT企業で構成されるコンソーシアムの指揮を執る。このコンソーシアムは、五輪の開催期間中、全英94カ所の会場で行われる競技の結果を集計、処理し、それらの情報を瞬時に全世界に配信するためのハイテクインフラを設計、構築している。

 Atosは、北京五輪の期間中、Commentator Information Systemと呼ばれるシステムを使って、世界中の放送局に各競技のリアルタイムの情報を提供した。同社は次回のロンドン五輪でも引き続きこのシステムを利用する意向である。

 「ロンドン五輪では、競技の結果や写真といった情報をリアルタイムで、より多く入手したいという声が高まると見ている」(Hyron氏)

 しかし、2012年のロンドン五輪では、競技結果はOlympic Park全体で利用可能になると見られる公衆無線インターネットアクセスを通じて配信される。そのため、競技結果を伝えるためのターミナルの数は、北京五輪時の2500台を下回る可能性がある。

 国際オリンピック委員会(IOC)の報道委員会の委員を務めるKevan Gosper氏は数日前、ロンドン五輪およびパラリンピック組織委員会(London Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games:LOCOG)は、2012年に五輪を開催する上で、戦時中を除き最も厳しい経済状況に直面していると警告した。

 Hyron氏はsilicon.comのインタビューで以下のように語っている:

 「2012年のロンドン五輪で持続可能性を実現するための新たなアイデアを提供するのは容易ではないだろう」

 「われわれは、組織委員会と連携し、アーキテクチャに関して可能な限りコスト効率を高めようと努力していく」

 「システムのアーキテクチャの設計時には、消費の削減および使用される機器や紙の量を削減するために、さまざまな創意工夫を凝らす」

 「現在、われわれは各五輪を通じ、さまざまな処理や作業方法の合理化について学んでいるところだ」

 Hyron氏が率いる作業チームのメンバーは、2012年7月のロンドン五輪開幕までに数千人規模にまで膨らみ、1000台以上のサーバ、1万台以上のPC、4000台以上のプリンタを提供する。

 また、(Hyron氏らが構築する)ITシステムは、五輪関係者25万人分の身分証や運営スタッフの当番表の処理も行う。

 Atos Originは、北京五輪の期間中、同社のプロプライエタリな監視システムを使って1日当たり1200万件のセキュリティアラートを出した。同社は2010年から、ロンドン五輪で使用するシステムの20万時間に及ぶテストを開始する計画。

 「われわれは、北京五輪の開催期間中に大変厳重な監視システムを開発した。動作は極めて良好だ」(Hyron氏)

 Hyron氏は、2008年の北京五輪ではオペレーションマネージャー、2004年のアテネ五輪ではシステムインテグレーションマネージャー、そしてソルトレイクシティ五輪ではクオリティマネージャーをそれぞれ務めた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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