Bush大統領は米国時間10月13日、知的財産執行法案に署名し、法律として成立させた。同法の成立により、著作権侵害の撲滅に向けた連邦政府の取り組みは、ホワイトハウスの新たな閣僚の下で統合される。
Prioritizing Resources and Organization for Intellectual Property Act(Pro-IP Act)と呼ばれる新法の成立により、行政府内に知的財産執行調整役(IPEC)という役職が新設される。IPECは大統領が任命する。
またPro-IP Actでは、知的財産侵害に対する罰則が大幅に強化されている。また、米司法省が偽造や海賊行為の撲滅に向けた国や州の取り組みを調整するための資金が増額される。法案は、9月に上院で満場一致で可決され、下院でも民主、共和両党から強力な支持を得た。
Bush政権は当初、同法案に反対を表明していたが、多くの論議を呼んだ規定の1つが削除された。この規定は、司法省が著作権侵害者に対し民事訴訟を提起することを認めるものだった。
Pro-IP Actは、経済界でも、全米レコード協会(RIAA)、米国商工会議所、NBC Universalといった著作権保有者などから幅広い支持を得てきた。また、米労働総同盟産業別会議(AFL-CIO)などの労働組合も同法への支持を表明した。経済団体や労働組合は、米国経済の発展のためには、強力な知的財産執行が必要不可欠だと主張していた。
NBC Universalのエグゼクティブバイスプレジデント兼法律顧問のRick Cotton氏は、「議会と大統領が承認した法案は、革新、技術的発明、米国経済の創造性にとって決定的に重要なものだ」とし、さらに「この法律の成立により、議題の中の知的財産執行の優先度は大幅に上昇する」と付け加えた。
米商工会議所によると、米国の知的財産の総額は5兆ドル以上に上り、米国の輸出総額の半分以上を占めているという。
米商工会議所の所長兼最高経営責任者(CEO)のTom Donohue氏は、「Pro-IP Act法案の立法化は、米国は自国の技術革新を守るために一層の努力をするという、世界中の知財犯罪者らへのメッセージだ」と語った。
しかし、米国図書館協会(ALA)、Public Knowledge、電子フロンティア財団(EFF)など、一部の権利擁護団体は同法に反対した。
Public Knowledgeの広報担当ディレクター、Art Brodsky氏は、「大手メディア企業ではなく、国民やアーティストの利益になる法律が制定されれば良かったのだが」と語った。またBrodsky氏は、議会や大統領は、知的財産問題でもっと市民に配慮できたはずだと指摘した。同氏は具体策として、「Orphan Works」と呼ばれる権利の所在が不明な著作物についてさらなる措置を講ずることなどを挙げた。
上院は9月に、Orphan Worksに対する著作権侵害を理由とする民事訴訟の提起を制限する法案を可決した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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