消費者が購入できるデジタル映画やテレビ番組は、おびただしい数のデジタル著作権管理(DRM)によってがんじがらめにされている。そこで、どのオンラインストアからダウンロードしたデジタルコンテンツでも、消費者がプレーヤーの機種を問わずに楽しめるようにすることを目指して、エンターテインメント企業、ソフトウェア企業、および販売会社が新しいコンソーシアムを結成した。
メンバーには、Warner Bros. Entertainment、Best Buy、東芝、ソニー、Comcast、Intel、Cisco Systems、Microsoft、NBC Universal、Paramount Picturesが名を連ねている。「Digital Entertainment Content Ecosystem(DECE)」と名づけられたこのグループの使命は、コンテンツの購入を容易にすることで、人々がコンテンツを違法に入手したいという誘惑に駆られないようにし、著作権侵害を撲滅することだという。
これを実現するために、どのDRMソフトウェアがどの製品に使われているかわからないような混乱状態を、市場から一掃したいと彼らは考えている。彼らの言う「相互運用性」がどのように実現されるのかについては、詳細はほとんど明らかにされていないが、大まかな計画としては、登録済みデバイスのリストをデジタル保管庫に保管し、人々がそこにアクセスしてさまざまなデバイスでコンテンツを再生できるようにするということだ。
しかし、メンバー企業をもう一度見てみよう。参加していない企業として真っ先に挙げられるのは、デジタルメディア業界で最大手のAppleだ。わたしは、DECEを取り上げた他の記事をいろいろ読んでみたが、技術系ブロガーの多くは、Appleの競合他社が「iTunes」を締め出して宣戦布告を始めたと見ているようだ。しかし、DECEの代表を務めるMitch Singer氏は、そうした見方は事実ではないと言う。Singer氏によれば、DECEはAppleにも参加を呼びかけているそうだ。だが、今のところAppleは応じていないのだとSinger氏は説明した。
競合企業どうしが一致団結して標準規格を設定するという話には、わたしはいつも疑いを持っており、それが競争にとってよいことなのだろうかと疑問に感じている。わたしは、このグループがデジタルメディアを支配するAppleの力を弱めるために作られたトロイの木馬かどうかについて、知ったかぶりをするつもりはない。ただ、このアイデアを耳にしたとき、わたしが最近iTunesのコンテンツに関して抱いていた疑問が頭に浮かんだ。
最近行われたいくつかのイベントから、わたしはiTunesの音楽やビデオの利用がApple製品に制限されなくなるのではと期待していた。わたしは自分の「iPhone 3G」を大変気に入っている。電車で通勤しているときのわたしは歩くコマーシャルと化しており、iPhone 3Gを使って話しまくったり、AMC Entertainmentの人気番組「Mad Men」を見たりしている。
だが、映画の「V」をApple製以外のプレーヤーで再生できるとなればすばらしい。わたしが心配しているのは、大手のレコード会社、テレビネットワーク、および映画会社が製作しているiTunesコンテンツのほとんどは、Zune Marketplaceなど他のオンラインストアとまったく同じく、DRMソフトウェアによる制限がかけられていることなのだ。
しかし、DRMで保護されたコンテンツを消費者がコントロールする余地がどれほど少ないかを示してくれたMicrosoftとYahooに、わたしは感謝している。
MSN MusicとYahoo Musicは、どちらも2008年になって、コピー保護ソフトウェアのロックを解除する認証キーの発行を打ち切ると発表した。つまり、これらのサイトで楽曲を購入した人は、その楽曲を新しいマシンや他のデバイスに移すことができなくなる可能性に直面したわけだ。MSN Musicは最終的にキーの発行をあと3年間は続けることを決定し、Yahoo Musicは払い戻しを開始している。とはいえ、ここから得られる教訓は明らかだ。音楽やビデオがDRMでロックされている場合、購入者はキーを発行する企業に頼るしかないということだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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